第三十一話
こそこそと話し合っている子供達は取り敢えず無視する。
「白雪、服あるか?」
「あるわよ。えーっと、ルチア……さん?」
「さんは止してくれ。我は主の召喚獣だからな。年齢的には上だが、立場は下だ」
__ふむ。
「立場とかは考えなくて良い。俺の仲間になッたからにはな。必要なときは仕様がないが、必要ないときは敬意も要らない。雪紫と呼べ」
「……難しいことを言う。まあ、ユキシが言うのであればそうしよう」
「じゃあ、ルチアちゃん。着替えはあるから、着替えましょうか。いつまでもその格好というわけにもいかないわ」
「うむ」
白雪に着いて行き、家の陰で着替えるルチア。
「お、お前!」
子供が再び話しかけてくる。
「ギルドカード見せろ!」
__なるほどな。
組合証には犯罪歴や組合からの評価が表示される。
__頭が回る奴が居るようだ。
懐から出した振りをして、『時空魔法・無限収納』から組合証を出す。
「ほらよ」
子供の一人に渡すと、まじまじと組合証を見る子供達。
「犯罪歴は無し……。ギルドからの評価は……、良好」
ほっとする子供達。
__緊張が取れたみてェだな。
「疑って悪かったな。遅れたが、助けてくれてありがとう」
俺に組合証を渡しながら礼を言う子供。
その子供に習って礼を言い始める他の子供達。
「良いンだよ。それより、お前等これからどうすンだ」
そう聞くと、顔を俯かせる子供達。
「お、オレ達の、母さんと父さんは……」
「……現実を言うが、生存は絶望的だろうな」
「……分かってる。でもオレ達、幸を守るように言われた! 父さん達は、この村の大切な宝を、オレ達に託して逝ったんだ! だから、オレ達はっ、幸を守るっ!」
他の子供達も、泣きそうにはなっているが、泣いては居ない。
__強いんだな。
「そうか。……いつまでも此処に居る訳にはいかない。まだ魔物が来るかもしれねェ」
「……此処を、離れるのか?」
「辛いだろうが、そいつを守るンだッたら、此処を離れた方が良い」
頷く子供達。
「だがまァ、少しだけだが時間はある。一番大切な物を取ッて来い」
顔を上げ、頷いて散らばって行く子供達。
「雪紫、着替え終わったわよ」
「おう」
戻って来る白雪とルチア。
ルチアは白生地に京紫の龍が巻き付いている着流しを纏っていた。
「俺が買ッたやつか」
「えぇ。似合うと思って。どう?」
「凄ェ似合ッてる」
そわそわしているルチアにそう言うと、一瞬で笑顔になった。
「そうか! 似合っているか!」
そのまま談笑していると、子供達が戻って来た。




