第三十話
『ンで? 俺にどうして欲しい』
ド直球に聞いてみる。
『……矢張り、見抜かれていたか』
『ッたりめェだ。あンだけ縋る様に見られちャな』
『……無理とは分かっているが、願いたい』
邪龍が頭を低くし、願う。
『我を浄化し、其方の下で共に戦わせてはくれまいか』
『……何故高が人間にそんなことを頼む? 手前等にとっては取るに足らない存在だろう』
『其方だからこそ、だ。』
俺の目をしっかりと見て、はっきりと言う邪龍。
__本気、みたいだな。
__…………。
『矢張り、無理か……』
項垂れ、去ろうとする邪龍。
そんな邪龍の頭を追いかけ、額に触る。
「『聖魔法・浄光』」
唱えた瞬間、聖なる光が瞬く。
聖なる光が邪龍を包み、尾の方から弾けていく。
「こりャあ……」
全体を覆っていた光が全て弾ける。
邪龍は、完全に浄化され、鱗が元の色に戻っていった。
邪龍の、否、彼女の鱗は月白。
__俺と同じ月白に、京紫の目……。
気付いたら、彼女を撫でていた。
『な、……な……!』
口の開閉を繰り返す彼女。
『これが俺の返事だが、何か文句あるか?』
彼女は体を震わせ、涙を流した。
『ありが、とう……。ありがとう……!』
唖然としていた邪竜達が威嚇を始める。
『コイツ等に何か言う事は?』
『……無い。互いの利益の為だけに共に居ただけだ』
『そうか』
血晶を操り、一匹一匹串刺しにしていく。
邪竜を全滅させ、京紫の目の彼女と向き合う。
『契約すンぞ』
『うむ』
魔物と契約を結び、召喚獣とするには、名前を与え、それに魔物が同意する必要がある。
__名前、か……。
「『ルチア』」
額を触っている指を通して魔力を流しながら命名する。
__ルチアはイタリア語で優雅な光ッつー意味だ。
光りが放たれ、集束し、二手に分かれて俺とルチアの額にそれぞれ入っていった。
ふと、ルチアが鋭く輝く。
同時にルチアと意識が連結される。
__これは……。
光りが収まると、そこには月白の長髪を靡かせ、京紫の目を輝かせる娘が居た。
背には髪と同じ月白の翼。首には手に持っていた宝珠が下げられ、素っ裸。
__さッきとは威圧が全然違うな。格が上がッたのか?
考えながら羽織りでルチアの体を前から包み、翼に触らないように横抱きにする。
『時空魔法・転移』で白雪達の下へ行く。
「「おかえり」」
「おう、ただいま」
「お、お前等、なんなんだよ!」
子供の一人が叫んでくる。
全員が赤子を守るように立ち、こちらを警戒している。
「なんなんだ、と言われてもな……。冒険者だ」
「……ランクは?」
「S」
ざわつく子供達。
冒険者には下からE、D、C、B、A、S、SS、SSSと階級がある。
下から初心者、三流、二流、一流(才能が無い者の最高到達地点。ベテラン)、才能ある者、超人、化け物、人外。と称号が付く。




