第二十八話
家屋の陰に隠れて様子を伺う。
「おとーさん! おかーさん!」
「どこー?!」
「うわあああぁぁぁあああんッッ!!」
「な、なくなよ!」
一人が泣き、釣られて他の子供も泣き出す。
『どう思う?』
念話を使って聞いて来る葛葉。
『普通の子供ッぽいわよ? 親達が急いで隠したんじゃない?』
『でも、人の気配も血の臭いもしないよ?』
__それがおかしいンだ。
『隠して居ないッつーことは、殺された可能性が高い。だが、葛葉の言ッた通り気配も血の匂いもしない』
『じゃあ……』
『子供達を置いて逃げたか、魔物が丸呑みにでもしたか、だが……。人間を丸呑みにするとなると、かなりの巨体になるか、異形の魔物になる。そんな魔物がここを通ッたンなら、それなりの痕跡がある筈』
『上空から見た限り、そんなものは無かったわね』
__そう。無かッた。
『地上にはな』
『『!』』
『そっか、上!』
『来るぞ、でかいのがな!』
地面に大きな陰が差す。
同時に上を向き、その正体を見る。
「な、なんだあれ!」
__子供達も気づいたか。
大きな巨体のソレは物凄い勢いで降下して来る。
そのままいきなり光線息吹を子供達に向かって放つ。
「やばっ!」
葛葉が出て行こうとするのを止める。
「な、何で止めっ!」
葛葉の言葉を遮るように光線息吹が子供達に直撃する。
二人を抱きしめ、余波から二人を守る。
肩越しに子供達を見ると、矢張り、思った通りの現象が起きていた。
余波が治まり、二人を離す。
その時には既にソレは着地していた。
「うわあああぁぁあぁあああんッッッッ!!」
「さちありがどおおおおおお!」
泣き叫ぶ子供達。
首を傾げるソレ。
「え……。な、なんで……?!」
「あの赤子だ。加護持ちだな」
加護持ち。
それは神の祝福を与えられた者のこと。
「多分守護神の加護ね」
「……そろそろ行くか」
__最初に一発は恐らく、捕食する為に威力を下げていた。
__守護神の加護も、発動する本人の魔力を使う。次は無い。
「そうね。行きましょう」
「うん!」
ソレは既に第二波の準備をしていた。
「よォ、こンな所で何してンだ? 竜さンよォ」
ソレの正体。
それは、大きな漆黒の竜だ。




