第二十五話
「残念、だッたなァ? 野盗共」
土煙が晴れ、俺達の姿が野盗共から見えるようになる。
しかし、誰一人として動こうとはしない。
恐怖に支配され、指一本でも動かせば殺される。そう錯覚し、動けないのだ。
何故か。
それは自分達の目の前に居るモノ達が恐ろしいからだ。
異形のモノ。
そう呼ばれてもおかしくは無いだろうこの姿は、この姿になるだけで威圧を放つ。
俺は悪魔羽に小さな数十匹の蝙蝠を従える。そして、葡萄色のオーラと着物を纏う。
白雪は額から生える二本の大きな角に大きな鶴を一羽従える。そして、薄桜のオーラと着物を纏う。
葛葉は九本の尾と耳に大きな九尾狐を一匹従える。そして、藍白のオーラと着物を纏う。
「なん、なんだ……。その姿は……!」
元暗殺者が言う。
「これかァ? これは能力の具現化だよ。能力を自分の体と合体させて、具現化させてる」
「のう、りょく……?」
「ッと。情報漏洩はこの辺にしておいて、さッさと殺るか」
俺の言葉を聞いてにやりと嗤う白雪と葛葉。青ざめる野盗共。
「ンじゃまァ、」
「「「殺れ」」」
各々が従えているモノに命令する。
俺が従えている蝙蝠達は中衛。散らばって飛び、固まっている野盗の血を吸う。
__吸ッた血の殆どは血晶にして凝縮させ、体内に蓄積させている。その血晶を飛ばして攻撃したりもするな。因みに、残した少量の血を養分にしている。
白雪が従えている大きな鶴は後衛専門。味方を回復したり身体能力を上昇させたりしている。
__能力発動中は体が淡く光るンだ。
葛葉が従えている大きな九尾狐は万能手。後衛も出来るし前衛も出来る。臨機応変に戦っている。
__自身の能力を最大限で使える頭もある。闘うと結構厄介。
そんなこんなであっという間に野盗は全滅。
__その死体は干涸びていたり、引き裂かれたりして結構グロい。
残るは、元暗殺者のみ。
「……何か、言い残す事はあるか?」
「雪紫……?」
白雪と葛葉が首を傾げる。
それに気づかない振りをして元暗殺者を見つめる。
「……最後まで、信じてくれて、ありがとう」
「!」
「少しの間だったけど、楽しかった」
「……あァ」
小屏風を構える。
元暗殺者は、腕を広げ、目を瞑った。
俺は、胸に標準を合わせて、容赦なく──、
──突いた。
リオネルの最期は、笑顔だった。




