第二十三話
魔力が凝縮され、白い固まりがリオネルの掌の上に浮かんでいるのが見えるようになっていく。
「……っ」
「疲れたか? 疲れたな? ンじゃ終ェだ」
「ま、まだやれる!」
「阿呆。魔力を使いすぎると命に関わるッてさッき言っただろうが。疲れたら止める。そンくらいで丁度良いンだよ」
リオネルは渋々頷き、魔力の放出を止めた。
__魔力の止め方、教えて無ェンだが……。
__やッぱ才能か?
「ンじゃ、こッからは見て覚えろ」
頷き、俺を見るリオネル。
「先ず、さッき教えた魔力の放出をやる」
掌の上に魔力を放出。見えるように凝縮させる。
「ンで、この魔力を武器に纏わせる。こンな風にな」
魔力を放出させている方の手で刀を握る。
その際、魔力が散らないように操り、刀に浸透させる。
「武器が淡く輝いたら、その部分に魔力が浸透している証だ」
「全体が輝いてるから、全体に浸透してるってことだな」
「そういう事だ。まァ、最初ッから大きなものは難しいだろうし、この短剣を使って良いぞ」
そう言いながら『時空魔法・無限収納』から短剣を取り出し、リオネルに渡す。
「この鞘の模様、何なんだ?」
鞘に彫られた紋を見て問うリオネル。
「ン? あァ、これか。これは俺達の証だ。俺と葛葉がこっち、白雪がこっちの紋だ」
藜組の紋と古清水組の紋を指差しながら言う。
「へぇー。パーティーシンボルとかか?」
「……まァ、そンな感じだ。この羽織りにもあるぜ?」
後ろを向いて紋を見せる。
「へぇ……。なぁ、触って良いか?」
「……良いぞ」
近づいてくるリオネル。
俺はボーッと談笑している白雪と葛葉を見ていた。
リオネルが俺の真後ろで立ち止まる。
「……どうした。震えてンぞ。情でも移ッたか?」
「っ……!」
俺は溜め息を吐き、立ち上がる。
「甘いな。手前、本当に元暗殺者かよ?」
「ッ黙れ!」
短剣を振り下ろすリオネル。
金属音。
「なっ……! さっきまで、遠くに居たのに……っ」
「残念だったわね」
「私達が、雪紫に向けられた敵意に気づいていないとでも思ってた?」
リオネルの刃を、白雪と葛葉が止めた。
「残念だッたなァ? 手前の計画は、最初からバレてたンだよ」
悔しそうに唇を噛むリオネル。
「しッかし滑稽だな。殺す相手に情が移ッて殺せない、なンてな。……馬鹿馬鹿しい。殺しを舐めるなよ」
少し殺気を送ると、恐怖に震え上がって尻餅を着く。
「お、お前、何なんだよ! 普通の冒険者が、こんな殺気を出せる訳がない!」
「俺かァ? 俺は、元裏の人間だよ。手前よりは知ッてると思うぜ? 色々と、な」
白雪と葛葉に目配せをする。
二人は頷き、各々の武器でリオネルの体を深く斬り付ける。
痛みによる悲鳴を叫びながら後退るリオネル。
「血ィ、出したな?」
唇を舐め、にやりと嗤う。
「『ヴァンパイアフィリア・血液操作』」




