第二十話
獲物はすぐ見つかり、日が暮れる前に夕餉の準備が出来た。
「「「いただきます」」」
「? 何だそれ」
「あー、簡単に言えば、食材となった動植物の命への感謝、かな?」
「へー。いただきます!」
俺達の真似をして言うリオネル。
そして一口。
「……っ、美味い……」
震える声を絞り出して言うリオネル。
「だろ? 白雪と葛葉の飯は美味ェンだ」
無言で頷き、大粒の涙を零しながら飯を食べるリオネル。
「「「ごちそうさまでした」」」
「ごちそうさまでした!」
茶を飲みながら一息吐いていると、こっくりこっくり船を漕ぎ始めるリオネル。
「っと」
倒れそうになったリオネルを抱え、テントの中に寝かせる。
「寝ちゃったね」
「そうね……」
暫くリオネルの寝顔を見て俺の方へ寄って来る白雪と葛葉。
「大丈夫?」
「……あ?」
「汗凄いし、息も荒い。熱は……、無いね」
「と、なると……」
白雪が葛葉と頷き合い、小刀を取り出す。
「はっ……?」
葛葉が俺を羽織い締めにし、それを見てから白雪が腕を傷つけて俺の口に押し付けた。
少しの間抵抗していた俺だが、唇に押し付けられた血と匂いに我慢出来ず徐々に口を開く。
一滴舐めてしまったらもうそこからは歯止めが効かない。
一心不乱に舐め続け、それは血が出なくなるまで続いた。
名残惜しく傷を一舐めして白雪の腕から口を離す。
「……すまねェ」
口を拭きながら言う。
「良いのよ。……というか、発作が起きたら言ってって言ったのに」
「そうだよ! 我慢しても体を壊したり暴走したりするだけで良い事何も無いんだよ?」
__…………。
「……我慢すれば、お前等が傷つかずに済む」
「「!」」
気まずい雰囲気になり、暫く沈黙が流れた。
最初に話し始めたのは白雪。
「……でも、それでも、私は雪紫に我慢して欲しくない」
白雪の言葉に同意し、続けて言う葛葉。
「雪紫、私達は心配なんだよ。雪紫は何でも一人でやっちゃうから、いつか潰れてしまわないかって……。ねぇ雪紫? 私達だって弱くないんだよ? ……お願い」
辛そうな表情をする葛葉。
「「私達も雪紫の隣を歩かせて」」
強く、しっかりとした意思を見せる白雪と葛葉。
__こンな、だッたか……?
__二人は、もッと、守るべき存在だッた筈。
__少し後ろを見なかッただけで、こンなにも、近くを歩いていたのか。
「……すまねェな。知らない間に、こンなに強く、なッて居たンだな」
二人の頭を撫で、引き寄せる。
「これからも、一緒に居て、くれるか?」
腕の中で頷く二人。
「ありがとう……っ」
__……師匠。
__俺にも、隣を歩いてくれる人が出来ました。
__俺、これからも頑張ります。
__師匠の教えを守って、きッと、師匠を超えてみせます。
__……見ていて下さいね、師匠。




