第十九話
「落ち着いたか?」
「叩いても普通落ち着かないって……」
葛葉が苦笑する。
「……落ち着いた」
「嘘ぉ……」
項垂れる葛葉を励ます白雪。
__何やッてンだ……?
「取り敢えず手前、名前は?」
「リオネルだ」
「ンじゃ、リオネル。訓練の時はその剣を使ッてたのか?」
リオネルが腰に下げている剣を見ながら問う。
「おう。母様からの最初で最後の贈り物だ」
「へぇ……」
じっと剣を見る。
「…………」
「……?」
「これ、呪詛掛けられてるわね」
頷く。
「え……? だ、誰がそんなこと……」
「……知らン」
__それは、知らなくて良い事だ。
「だが、手前の不運はこの剣の所為で間違いない。その剣を手放すか、呪解するか……。選べ」
「手放すのは嫌だ!」
__良し。
剣に手を翳す。
__『聖魔法・呪解』
「でも、呪解なんて出来んのか……? 聖魔法だぞ? って……!」
剣が光り始めたのを見て驚くリオネル。
「うっそぉ……」
リオネルがあんぐりと口を開けて驚いている。
暫く光っていると、何かが割れる様な音がする。
「お、折れてないよな?!」
「安心しろ。折れない様にやッた」
「今のは呪詛が解けた音だよ」
俺と葛葉の言葉に安心するリオネル。
「にしても、本当にこの剣で良いのか? 遠慮せずに言うが、これ結構な祖末品だぞ?」
「本当に遠慮無しに言ったな……。そうだとしても、これは母様からの最初で最後の贈り物だから。大切にしたい」
そう言ってリオネルは剣を撫でた。
「そうか。ンじャ、その剣が折れない様にする技術も教えるか」
「? そんなのあるのか?」
__恍けてる……訳じャねェみたいだな。
「手前の教師はそれすら教えてくれなかッたのか?」
「一回手合わせしただけで来てくれなくなったからな」
__本当に此奴の動きを見て才能無しと見たか、…………。
「どちらにせよ、剣に掛けられた呪詛を見抜けない程度の教師だッたッつーことか。ま、安心しろ。途中で投げ出したりはしねェ。約束だ」
拳を突き出す。
「! おう! 約束だ!」
俺が突き出した拳に自分の拳を当てるリオネル。
それを見て白雪と葛葉が笑う。
笑いが伝染し、全員で笑う。
「こ、こんなに笑ったの、久し振りだ……!」
浮かんだ涙を拭い乍ら言うリオネル。
__その涙は笑いの所為か、それとも……。
__……ま、何方でも良いか。
ふと、リオネルの腹の虫が鳴る。
「うっ……」
「昼餉にするか」
「ヒルゲ?」
__あー……。
「お昼ご飯の事よ」
「そうか! ヒルゲ! ヒルゲにしよう!」
「そうだね! じゃあ用意しようか!」
「おう!」
進んで準備を手伝うリオネル。
葛葉が無限収納から出す旅道具を見て一々目を輝かせている。
__旅なンてした事ねェから新鮮なンだろうな。
「葛葉、使い方とか相場とか教えとけ」
「分かったー!」
俺に向かって手を振った後、リオネルに道具の説明をし始める葛葉。
「白雪は周囲の警戒しとけ。俺は飯捕ッてくる」
「了解」
その言葉を聞いてから森へ入り、獲物を探す。




