第十八話
「……ユキシとあまり変わらないわね」
「いや、アレは俺じャねェし」
「うーん……。でもユキシの体でしょ?」
「うっ……。そ、そうだが、俺の意思じャねェ」
言い合いを始める俺達を唖然と見つめる少年。
「つーか、子供が無理して笑ッてんじャねェよ」
再び少年の頭を叩く。
「いった! うわいった! んだよこの馬鹿力!」
「うッせ。力無きャ薙刀振り回せねェだろ」
「ナギナタ? なんだそれ」
__あァ、倭国の武器だもンな。
「これだよ」
キーホルダーにしていた小屏風を元に戻す。
「うわっ! 今何処から出した?!」
「あ? あー。手品だ」
__間違ッてはねェよな。
「手品? 魔法じゃねぇのか?」
「魔法では無いわ。ちゃんとした技術よ」
「へー。にしてもこのナギナタ? グレイブじゃねぇのか?」
__グレイブか……。
「倭国の伝統武器だからな。グレイブの倭国版ッてところだ」
「へぇー! すっげぇ……。剣以外の武器をこんな間近で見たの初めてだ。ありがとな!」
「おう」
薙刀をキーホルダーにし、話しを戻す。
「ンで、何で俺達が倭国の者だと知ッて嬉しそうにしてたンだ?」
「そんな嬉しそうにしてた?」
三人で頷く。
「何でだ?」
「……倭国の者は、すげぇ強いって聞いた。だから、特訓して貰えないかなって……。でも良いよ。考えてみたら、オレなんかに特訓なんてして貰えないだろうし、お前等にも目的があるんだろ?」
__ませてンなァ。
『良いか?』
『……仕様が無いわね』
『良いよ~』
__二人の許可が貰えた事だし。
「カシャム家ッつーと、此処から徒歩数日の所にある都市、ベスタルを治めてる辺境伯。で合ッてッか?」
「そうだけど?」
「ンじャ、俺達の目的地までの通過地点でもあるわけだ。お前の元家は」
「……何が言いたいんだ?」
首を傾げる少年。
「ユキシ、凄く回りくどい。はっきり言ったら?」
__呆れンな。
「……俺達が特訓してやる。但し、ベスタルに着くまでだ」
「…………。……え?! い、良いのか!? い、いや、でも経った数日間でそんな強くなれる訳が……」
百面相をする少年。
「出来る」
「え……」
少年が目を皿のようにして驚く。
「で、出来ん、のか?」
「出来る。ま、カシャム家に戻ることは難しいだろうが、一人前の冒険者にはなれるだろうさ」
「ぼうけんしゃ……。冒険者?! お、オレ、冒険者になれんのか?!」
身を乗り出してくる少年の顔を抑えて距離を保つ。
「何だ? 冒険者に憧れてンのか?」
「おう! でも、貴族だったし、先生には向いてないって言われてたから、諦めてたんだ。そっか、オレ、冒険者になれるんだ!」
飛んで喜ぶ少年。
「一回落ち着け」
少年の頭を叩いて黙らせる。




