第十七話
__見えて来たな。
「取り敢えず、人気の少ない崖に降りるぞ」
二人が頷いたのを見てから人に見つからないように崖に着地する。
「よ、ッと……」
ふと一部の茂みが揺れた。
戦闘体制になる二人を止める。
「風だろ」
『人間だ。気配が小さいから子供だな』
念話を使って二人にそう伝える。
「……そうみたいね」
「初めての大陸だから、ちょっと緊張してたのかもね」
武器を仕舞う二人。
「で、これからどうするの?」
「倭国から飛ンで来た方角的に、此処はヴァルアトル王国だな。首都ヴァルルがある。取り敢えずは首都に向かうか」
「流石ユキシね。私首都まで覚えてないわ」
__いや覚えとけよ……。
「此処からその首都までどの位?」
「あ? ンー……。歩いて一ヶ月と少し、全速力で一週間、位か……」
「いやどんだけ速いんだよ?!」
__思わずといったところか。
茂みから立ち上がって叫んだ少年。
「あ……」
ゆっくりと回れ右をし、逃げようとする少年の襟を掴んで止める。
「うわあああああ!」
手足を振り回して逃げようとする少年。
しかし、俺が掴んでいる所為で一歩も前には進めない。
「叫ぶな逃げるな。ッたく。隠れようとしてンなら声とか出すなよな」
「気付いてなかった振りしてた此方の身にもなってみなさいよ……」
額を抑えて呆れる白雪。
「折角見逃して上げようと思ってたのにね」
悪い笑みを浮かべる葛葉。
それを見て聞いて更に叫ぶ少年。
「葛葉、人聞きの悪い言い方すンな。お前ももう叫ぶの止めろ。魔物が寄ッて来ても助けてやンねェぞ」
そう言うと、ピタリと叫ぶのを止める。
「ま、魔物って言い方……。お前等、やっぱり倭国から来たのか?!」
「ン? あァ」
__そういや、倭国以外ではモンスターッて言うンだッたか。
「本当か?! 本当に本当か?!」
また騒ぐ少年の頭を叩く。
「五月蝿ェ」
「いってぇ……! すんげぇ痛ぇ……」
「ンで? 何でそンな事聞くンだ?」
叩いた所を抑え、涙目になりながらぼつりぼつりと話し出す。
「自慢じゃねぇけど、結構良いとこの坊ちゃんなんだけどさ、オレ勉強できねぇから落ちこぼれって言われてて……」
__落ちこぼれ、ねェ……。
「すげえ悔しいけど、何やっても勉強すると頭に入ってこなくて。でも、落ちこぼれなんて言われ続けるの嫌だから、武術で見返してやろうって思ってんだけど、稽古の時になると何もないところで躓いたり、力が入らなくなったりするんだ……。それでもっと落ちこぼれって言われるようになって……」
「……それで?」
「家、追い出された。カシャム家に落ちこぼれは要らねぇんだと……。だから此処で特訓して、絶対アイツ等見返してやるんだ!」
無理して笑う少年。
「「「…………」」」
顔を見合わせる俺達。




