第十四話
「して、師匠。基礎と言っても何をするのじゃ?」
「取り敢えず、体力を上げると同時に技術を上げて行く。まずは今から教える技術の話をするか」
コシミズ家に戻り、俺の自室で話す俺、白雪、葛葉、チユキ。
「因みに、白雪と葛葉もそれを会得してる。俺の教えで分からなかったら二人に聞け」
「分かった。二人も、よろしく頼む」
各々返事をする二人。
「チユキ、柔能く剛を制すッつー言葉知ッてるか?」
「嗚呼。しなやかなものは弱そうに見えても、かたいものの矛先をうまくそらして、結局は勝つことになるということのたとえ……じゃったか」
「そうだ。剣には剛と柔がある。国王様は剛しか知らねェンだろうな。まァ、それは扨於き、剛と柔の説明だ」
庭へ出て小屏風を構える。
俺の前には白雪が姫鶴一文字を構えている。
「まず、役を振り分ける。最初は俺が攻撃で剛を使う、白雪が防御で柔だ。ンで、葛葉が手を叩いたら役を変える。良く見ておけ」
チユキが頷いたのを見て、葛葉に合図を出す。
「始め!」
葛葉の声と同時に俺が駆け出す。
力任せに揮われた小屏風を受け流す白雪。
数回打ち合うと、葛葉が手を叩く。
瞬時に白雪が攻撃に移る。
一太刀が重い白雪の攻撃を、小屏風を軟らかく動かして受け流す。
攻防を変えながら体感で十数分程打ち合い、葛葉の合図で終わる。
「どうだ?」
「うむ。あんな風に繊細に動く剣は見た事が無かった故、新鮮じゃった」
「そうか。ンじャ、早速やるぞ。やりたくて仕様が無ェんだろ?」
勢い良く頷き、刀を持って立ち上がるチユキ。
「そういや、その刀の号はなンて言うンだ?」
「嗚呼、これか? 号は雷切じゃ。何でも、雷神を二度も斬ったと謂われている」
__雷神を二度斬る……。
__もしかして、上杉謙信が持ってたアレか?
白雪に目を向けると、頷いてくる。
__そうみてェだな。
__まァ、だからどうしたッて話なンだが。
「それより、教えてくれ!」
「あァ、そうだな。まずは普通に構えてくれ」
__国王様との決闘前日。
__今さっき仕上げ、今から俺と模擬戦をするところだ。
「準備は良い?」
「おう」
「うむ!」
審判役の葛葉が手を振り下げる。
「始め!」
両者共に奔る。
チユキ寄りの位置で小屏風と雷切が交差する。
「矢張り、身体能力では敵わないのじゃ……!」
「当ッたり前ェだ!」
数回打ち合った後、渾身の力を込めて雷切を揮うチユキ。
それを最小限の動きだけで弾こうとすると、雷切が視界から消える。
__ここまで成長するとは思ッてなかッたぜ。
すぐに小屏風を持ち替え、下からの突きを上へ受け流す。
石突でチユキの額を軽く突く。
__勿論、額を割る程じャねェ。
「俺の勝ち、だな」
「うー……。また負けたのじゃ……」
「まぁまぁ。雪紫に勝てるの、私は一人しか知らないし。仕様が無いわよ」
首を傾げるが、追求はして来ないチユキ。
「ま、これだけ出来れば国王様にも負けねェと思うぜ」
「うむ!」
花が咲いた様な笑顔を見せるチユキ。
思わず頭を撫でる。
「! ふへへ……」
「あ、すまン」
我に帰る。
__危ねェ。意識が違うとこ飛んでた。
「そういう事だから。明日は筋トレしたら時間までのんびりしてろ。解散」
各々返事をし、武器の手入れや風呂に行く。
そして、国王様との決闘の日。




