第十三話
「……とんだ父親だな。何の為に王女様に剣を教えたのかは知らねェが、こンなンじゃ王女様は成長出来ねェぜ。態と負けてもらって得るモンなンざ無ェんだよ」
そこで兵士が吠える。
「貴様! 国王様に向かってなんだその態度は!」
「下がれ」
「で、ですが……!」
「下がれと言っている」
兵士を威圧する国王様。
威圧された兵士は体を強張らせ、下がった。
「それで良いのだ」
「は?」
「彼奴は成長しなくて良い」
__……あァ、そういうことか。
「王女様は王女様らしく城で着飾って居れば良い、と?」
横目で王女様を見、すぐに視線を国王様に戻した。
「そうだ。大体、女は弱いのだから戦いに出る必要は無い。出たとしても足手纏いにしかならんのだからな」
「女には女の強さがある」
「戯言を。女に強さを求めるとは、」
「女は、戦ってはいけないのですか?」
国王様の言葉を遮った王女様。
「今まで、闘って来た者達は、手加減をしていたの、ですか?」
その声は震えていた。
「その通りだ。お前の実力は十本の指所か両手足の指でも足りぬ。おまけに素質も無いと来た。お前は向いていない」
「っ……!」
悔しそうに刀を握る手を見る王女様。
__…………。
ふと、白雪が視界に入る。
じっと俺を見つめている白雪。
__はァ……。
俺は分かったという意を込めて頷く。
「分かったらさっさと刀を捨てて花嫁修業に励め」
「……ちょっと待った」
「まだ何か用か?」
苛ついた様子で振り向く国王様。
「素質が無い、と言ったな? 王女様は十分素質あるぞ」
「ぇ……?」
王女様が顔を上げる。
「一から説明しても国王様は戯れ言だと一蹴するだろ? だから、証明してみせる。……一週間だ。一週間で、王女様を強くする。それで、アンタに一太刀入れさせてやるよ」
「ほう……? 良いだろう。やってみろ。不可能だがな」
それだけ言い、兵士を連れて去って行く国王様。
それを見届けた後、王女様に近づき、膝を着く。
「いつまでそうしているつもりだ」
「無理じゃ! 父上に勝つなど、無理じゃ……!」
__…………。
「最初っから無理と決めつけていたら、何にも出来ねェぞ。……強くなりたくねェのか?」
「! ……なり、たい……。強く、なりたい!」
__……良い目だ。
「ンじャ、早速やンぞ。どのくらいサボッてた?」
「うっ……。一ヶ月、位……」
「……まずは基礎から反復だな。ほら立て」
手を差し伸べる。
王女様はその手を取り、立ち上がる。
「よろしくお願いします! 師匠!」
__師匠、か……。
「おう。よろしくな。王女様」
「チユキじゃ!」
「あ?」
「チユキと呼べ!」
__…………。
「……行くぞ、チユキ」
「! うむ!」




