第十話
コシミズ家にはまだ誰も居なかった。
取り敢えず白雪の部屋に二人を寝かせ、傷の手当を終わらせる。
「さて……。まずは、追っ手を警戒して二人が起きるまで警戒だな。二人が起きたら、これからの事を考えるか」
そう言いながら変身を解く。
頷き、変身を解く葛葉。
それから、食べもせず、飲みもせず、只管に待った。
一週間、待った。
その間にコマチさんが起きたが、俺達は何も話さず、只じっと、待った。
そして、白雪が、目を覚ました。
「ゆきし……、くずはちゃん……」
「しらゆき!」「しらゆきちゃん!」
俺と葛葉の声が被る。
「ごめん、ね……」
「なぜあやまる。きづかなかッたおれがわるい」
「こうやってみんないるんだから、いいじゃん! それより、コマチさんにしらせてくる!」
そう言って駆けて行く葛葉。
「……また、のまずくわずなんでしょ……?」
「まァな。だが、しンぱいされるほどじャねェよ」
「そ、っか……」
沈黙。
ふと、足音が聞こえて来た。
__葛葉とコマチさンか。
「シラユキ! 起きたのね!」
「うん。心配かけてごめん」
「ユキシ君達も、ありがとう。シラユキを助けてくれて」
__…………。
「もとはといえば、ボクにげんいんがあります。しらゆきをきけんなめにあわせてしまって、すみませんでした」
葛葉と共に頭を畳に着け、謝罪する。
「そ、そんな! 悪いのはマドカとコテツさんなのよ? 貴方達が謝る必要は無いわ!」
「ならば、ボクはじつのふぼがしたことをしゃざいしなくてはなりません」
「……分かったわ。その謝罪を受け入れます」
もう一度、深々と頭を下げる。
「じゃあ、この話は終わりね! 今から貴方達はコシミズの人間になります。それなりに働いてもらうわよ」
大きく、はっきりと頷く俺と葛葉。
「それから、もう家族なんだから、遠慮も敬語も猫被りも無し! シラユキもね!」
俺達は顔を見合わせた後、大きく返事をした。
__あれから、十年。
__成人した俺達はこの倭国を出る。
__が、その前に授与式がある。
__何のかッて?
__伝統武器のさ。
「あの悪餓鬼が、こんな立派に成長するなんてねぇ……」
十年前の魔法で貫かれた時、体力を回復してくれた元冒険者の婆さんが沁み沁み言う。
「ユキシ・アカザには、この小屏風を」
代表の老人が小屏風を祭壇から持ってくる。
「はっ。有り難く頂戴致します」
跪き、頭を垂れ、頭の上で持って下がる。
「シラユキ・コシミズには、この姫鶴一文字を」
同じく姫鶴一文字を祭壇から持ってくる。
「はっ。有り難く頂戴致します」
俺と同じ様に姫鶴一文字を賜り、下がる白雪。
「クズハ・アカザには、この大鉄扇を」
最後に、大鉄扇を祭壇から持ってくる老人。
「はっ。有り難く頂戴致します」
大鉄扇を賜り、同じ様に下がる葛葉。
「これより、それ等の武器は汝等の物となった。……以上で、授与式を閉式する」
最後に頭を下げて終わった。




