第九話
「この世界に産ンでくれた事には感謝してンだ。だが……、手前等はしちャいけねェ事をした」
「悪いけど、手加減は出来ない」
葛葉の言葉に反応したコテツ。
「手加減、だと? ……笑止。貴様等如きが、俺に勝てると思っているのか」
葛葉に合図を出す。
一拍置いて、殺気が襲いかかる。
俺達は圧に負け、片膝を着く。
「ユキシ君!」
部屋に飛び込んでくるコマチさん。
「ああ、コマチか」
「アンタ達……! 子供相手に、なんてことしてるのよッ!」
薙刀をしっかりと持ち、コテツに踊り掛かるコマチさん。
「子供相手? そいつ等をよく見ろ。お前と対して身長が変わらん」
コマチさんの攻撃を軽々と避けながら喋るコテツ。
「貴方こそ何言ってるの? まだ五歳の子供達じゃない!」
「…………」
違和感に気づいたらしいコテツ。
__その違和感に気づいた時、この幻影は崩れる。
「おいお前! 小娘は……、!」
白雪の姿が無い事に気づくコテツ。
コマチさんもそれに気づき、隙を作ってしまう。
それを見逃さず、鳩尾に蹴りを入れるコテツ。
コマチさんが吹っ飛ぶ。
「……なるほどな。闇魔法の幻影か」
俺をしっかりと見据えるコテツ。
その俺の腕には気絶した白雪とコマチさんが居る。
「ゆきし、くん……?」
「借りるぜ、コマチさン」
頷き、気絶するコマチさん。
__神の悪戯か何かか、これは。
「小屏風に、特製の鉄扇、それに姫鶴一文字」
「ま、考えるのは後だね」
「今は、コイツ等を始末、しねェとな」
コテツが立ち上がる。
「始末、だと? この俺も舐められたものだな」
「その自信が仇となる」
コテツに踊り掛かる俺。
__白雪、借りるぜ。
白雪の血で血晶龍を構築する。
殺気で出来た血晶龍と白雪の血で出来た血晶龍がコテツに襲いかかる。
血晶龍二体が攻撃し、出来た隙を狙って俺が攻撃する。
そうしているうちに、コテツの傷がどんどん増え、血が流れる。
その血が新たに血晶龍を産み、こちらの手数が増える。
そして、消耗しているコテツに背後から一瞬で近づき、血が出ている大きな傷に指を入れる。
「ぐっ……?!」
「『血液操作』」
唱えると、俺が思った通りに血が動く。
俺が触れている傷から次々と血が溢れ出て、あっという間にコテツは乾涸びた。
血は出た瞬間血晶に変わり、巾着へ入って行った。
「お見事」
指に付いた血を舐める。
「……やッぱり男の血は不味いな」
「そうなの?」
「あァ」
悪魔羽だけ仕舞い、蝙蝠を消して白雪を抱上げる。
葛葉も耳と尾を仕舞い、狐火を消してコマチさんを抱上げる。
そして、屋根の上に乗り、見つからない様に姿勢を低くしてコシミズ家へ向かった。




