第八話
「ッ依頼主は、この国の貴族だ!」
「……なは?」
「…………」
じりじりと寄って来ていた数人を血晶が襲う。
一人は防ぐが背中から貫かれる。
その他は一撃目で串刺しに。
「なは?」
もう一度問う。
「……マドカ・アカザ」
「…………。そうか」
入り口へ向かう。
安堵の息が聞こえる。
扉が閉まり、同時に中から断末魔の叫びが聞こえてきた。
「よかったの?」
走りながら葛葉が聞いてくる。
「あァ。どうせ、あれいじょうはききだせなかッた」
それだけ言って速度を上げる。
__目指すはアカザ家だ。
「ユキシ君!」
屋根の上を走っていると、武装したコマチさんが隣を走って来た。
「シラユキが居ないの!」
「いまおってるんだ。ついてきて」
葛葉が答える。
「……えぇ」
少し走ると、目的地に着いた。
「此処、なの?」
其れには応えず、気配を探る。
__間違いなく居る。部屋は……、マドカの部屋か。
足音と気配を消し、マドカの部屋を目指す。
__コマチさん、結構やるな。
__足音も気配も完全に消えている。
後ろ手で止まると合図し、止まる。
そして、此処だと手振りで伝えた。
ふと、血の匂いが鼻につく。
__この、香りは……。
__間違いなく、白雪のもの……!
俺から途轍も無い殺気が飛び出す。
あまりにも濃密で、強大な殺気。
徐々に具現化していくそれは、巨大な赤黒い龍を構築していった。
「ちょ、ゆきし!」
「すでにきづかれている」
少し食い気味に葛葉に言う。
「……そっか」
葛葉も殺気を放つ。
殺気に驚いているコマチさんを置いて、俺達は襖を吹っ飛ばす。
中には、腰を抜かしているマドカと、淡々と茶を飲んでいるコテツ──父──、そして、傷だらけで倒れている白雪。
後ろに居る葛葉にコテツには気をつけろ、九尾の力も全開で行け、と手振りで伝える。
頷き、九尾の力を解放する葛葉。
同時に俺も吸血姫の力を解放する。
その時、何かが引っかかるような感覚があったが、そんなもの無理矢理こじ開けた。
俺達を囲っていた魔方陣が消えると、俺達の姿は変わっていた。
俺は漆黒の悪魔羽が生え、鋭い牙と爪が。そして周囲に蝙蝠が飛んでいる。
葛葉は髪と同じ藍白の七本の尾と耳、目尻と額に紅い紋様。そして周囲に青白い狐火が浮かぶ。
それと、共通して変わっているのが、前の世界の時の容姿に戻っている事。つまりは、成長している。
「き、聞いてない……。聞いてないわよこんなのッ!」
マドカが震え上がる。
「この世界に産ンでくれた事には感謝してンだ。だが……、手前等はしちャいけねェ事をした」
「悪いけど、手加減は出来ない」




