第五話
「くずは!」
「くずはちゃん?!」
葛葉を空中で抱え込み、着地する。
そこに白雪とコマチさんも駆け寄ってくる。
「酷い怪我……。この子に何をしたの!」
葛葉に魔法を掛けながら問うコマチさん。
「何って……。使えないからストレス発散にね。主に男の、だけれど」
__なんだと……?
俺と白雪がゆらりと立ち上がる。
そして──、
「「「「「ッ?!」」」」」
──殺気を放った。
「いま、なんといッた……?」
「な、なに……!? この濃密な殺気は……! まさか、お前が放っているの……?!」
「しつもんにこたえろ……!」
血晶龍に命ずる。
「ひっ?!」
母が血晶龍に足を銜えられ、宙ぶらりになる。
「お、男の使用人のストレス発散に使ったって言ったのよ!」
「……そうか」
その言葉を聞いて、明らかにほっとする母。
しかし、その顔はすぐに恐怖に染まった。
血晶龍の長い胴体が体に巻き付いたからだ。
「しんでしまえ……!」
俺が手を握るのと比例して血晶龍が母を締め上げる。
__あと、少し……!
「やめて……っ」
握りしめた俺の手を掴む声の主。
「くず、は……?」
「こんなことのために、そんなことしなくていい!」
目に涙を浮かべ、懇願する葛葉。
「おまえはじぶンをかるくみすぎてンだよ!」
「それでもいい! でも、おやごろしなんて、ゆきしにはおってほしくないから!」
__!
その言葉を聞いて、脱力する。
「……すまない」
__そうだ。こいつは、葛葉は、幼い頃に起こった暴走で、両親を……。
「ううん。こっちこそ、ごめん……」
俺に凭れ掛かる葛葉。
「くずは……? くずは!」
__呼吸が荒い。熱も有るな。
葛葉を横抱きする。
「ユキシ、君……?」
コマチさんが唖然として俺を見る。
__…………。
「ゆきし! わたしのいえ!」
「あぁ」
白雪が駆け出すと、野次馬は慌てて道を開いた。
俺は葛葉の負担にならないように走り、白雪を追う。
俺達子供の足でもすぐ着いた程近くに白雪の家はあった。
「こっちよ!」
草履を乱雑に脱ぎ捨て、家に入って行く。
縁側を通り、白雪に続いて部屋に入る。
蒲団を敷き、葛葉を寝かせる。
「しらゆき。わるいがいちどでてくれないか」
「……おわったらよんで」
素直に出て行く白雪。
__すまねェな。だが、これは知られる訳にはいかねェンだ。
葛葉の着物を少し開けさせ、首筋に牙を立てる。




