第一話
目が覚める。
__ボクは一体、何をしていたんだっけ……。
そこで、思い出した。
何もかもを、思い出した。
前の世界での出来事、俺の事、天界での事、そして、ボクの事。
__そうか。転ンだのが切っ掛けで思い出したのか。
__そりゃそうだ。赤子の頭に記憶がいきなり入ったらどうなるか分かンねェからな。
__ンじゃ、少し情報を整理してみッか。
__まず第一に、今の俺はユキシ・アカザ。五歳で、従妹に同い年が居る。これは多分葛葉だ。
__次に現在地だが……。家の庭だな。藜組くらいあるか?
__そして俺は宗家の者のようだ。葛葉と思われる従妹は分家。
__ンで、今は勉強から逃げ出してきた、と……。
__そんなことしても、自分の為にならないンだがな。
「御免下さーい!」
ふと、玄関から女性の声が聞こえてきた。
__……俺が行くか。一番近いだろうし。
「どちらさまですか?」
微笑みながら問う。
「あら、僕は此処の家の人?」
「はい! ボクはユキシです!」
「あらあら。貴方がユキシ君なのね! 無愛想って聞いてたけど、可愛らしいじゃない! あ、私はコマチ・コシミズよ。よろしくね、ユキシ君」
__コシミズ、か。
__十中八九、白雪の家だろうな。
「よろしくおねがいします! きょうは、どんなごようけんで?」
「あぁ、そうだったわ。貴方のお母さんに呼ばれて来たのよ」
__母さん、か……。
「そうだったんですか! じゃあ、ごあんないしますね!」
玄関を開け、壁に掛けてある鈴を鳴らす。
__これは、来客を知らせる鈴だ。
すぐに使用人が来た。
「! 申し訳有りません! 何かご無礼をしましたでしょうか?!」
俺を押し退け、コマチさんの体を見る使用人。
まぁ、子供の俺と大人の使用人だ。
棚に頭を思い切り打った。
__普通に痛いンだが。
__まァ、今の俺は使用人以下の立場だ。仕様がないな。
俺は当たり前の様に自分で立ち上がる。
「な、何をしているの?! 大丈夫? ユキシ君」
「コマチ様、この様な者を心配などなさらないで下さい。さ、奥様がお待ちです。……邪魔よ」
今度は蹴られ、庭に放り出される。
__あー。鳩尾入った。
「ちょっと貴方!」
「だいじょうぶですよ、コマチさま。それでは、ボクはこれで」
一礼し、コマチさんの声を無視して去る。
少し歩き、路地裏に入ると、何かがこみ上げてくる。
思わず口に手をやると同時に口から吐き出される深紅。
__血、か。
__そういや、吸血衝動が起きねェな。
__なんでだ?
「あなた、なにをしているの?」




