第三十一話
『起きて下さい』
聖母の様な、優しい声音で目が覚める。
「此処は……」
『説明を致します。まずはその二人を起こして下さい』
何処からともなく声が響いた。
__此処は、雲の上、なのか?
__それにしては、浮遊感も風もない。
__そもそも、声の主は何処に居る。
様々な思考を巡らせながら、白雪と葛葉を起こす。
「ん……?」
「なに……?」
『起きた様ですね。……単刀直入に言います。助けて下さい!』
__助ける?
「……まずは、その理由を話してくれ。それからだ」
『はい。此処からは貴方達人間にとっては突拍子もない話になります。……私は、貴方達の言う、地球がある世界の神をして居ります。そして、集団消滅事件の真相を知っている者でもあります』
「ほう……?」
先を促す。
『異世界の神が、倒せない魔王を倒させようとする遊戯の為に、日本の高校生を攫っているのです……!』
本当に、悔しそうな声音を出す神。
『名も知らぬ我が国の者よ。どうか、あの遊戯を止めて下さい!』
__…………。
「質問を良いですか?」
『時間は沢山ありますので、大丈夫ですよ。それと、敬語は使わないで下さい』
「そうか。……俺達やクラスメイト達の、異世界での立場はどうなる」
『貴方方には、転生という形で異世界、ダラムテカトルへ行ってもらいます。クラスメート達はそのまま召喚という形になります。……私の力では、固まっていた貴方方を捕まえることしかできませんでした』
そう言って謝罪してくる神。
__転生、か……。
「クラスメイトを含めて、俺達は日本に戻れるのか?」
『戻れます。……但し、彼方の世界で死んでしまった場合、それは不可能になります』
__だろうな。
「戻ッた場合、姿はどうなる」
『元の姿に戻すことは容易です』
__ふむ……。
「では、クラスメイト達が召喚されるまでに成人する事は可能か?」
『……はい。可能です』
「三人がすぐに会うようにする事も?」
『可能です』
__…………。
「能力と俺達の武器とこのピアスを引き継ぐ事は?」
『! 能力持ちでしたか。……可能です』
「……こんなもンか?」
二人に問う。
「後、貴方と連絡は取れるのかしら?」
『スキル『念話Ⅹ』を取れば可能です。これは私の加護として付けておきます。その他にも、便利なスキルを付けておきます』
「否、いい」
『へ?』
神が驚く。
「自分で取るから大丈夫だ。一から自分でやった方が、いざという時に役に立つ」
『……そういうことでしたら。ですが、何もしないというのは私が嫌ですので、加護としてスキルの取得条件が分かる様に致します』
「……まァ、そのくらいなら良いか」
葛葉にも何かあるかと聞く。
「うーん……。その世界に、和服ってあるのかな?」
『あります。倭国と言います。そこ出身にしますか?』
「うん! 和服の方が着慣れてるから」
頷く。
『もう質問はありませんね? ……はい。では、名も知らぬ我が国の者よ。どうか、頼みましたよ』
「藜雪紫だ」
『へ?』
「私は古清水白雪よ」
「藜葛葉!」
『な、何を……?』
困惑している神。
「俺達の名だ。お前の名は?」
『! わ、私の名は、天照。天照大御神』
「そうか。ンじゃ、天照。またな」
『は、はい! ……では、送ります』
その言葉を最後に、視界が白く染まり、意識を失った。
『雪紫、白雪、葛葉。……不思議な方達ですね。…………。どうか、ご無事で』




