第二十五話
思わず銀紫様に抱きつく。
「今日は一段と甘えん坊だね」
「……いけませんか?」
「いいや? 大歓迎さ」
抱きしめ返してくれる銀紫様。
「銀紫様は、俺を恨ンでいますか?」
「…………。それは、兄上の事で、かい?」
頷く。
「恨んでなどいないさ。兄上は、雪紫を救えたと喜んでいたからね」
「……そう、ですか……。師匠が……」
銀紫様の兄上、銀青様は、俺の師匠だった。
俺は、本当に小さかった頃、誘拐され、闇の人間として生きていた。人を殺すのは日常茶飯事だった。
この世の全てに絶望していた時、銀青様に助けてもらった。そして、人を護る為の術を教えてくれた。
幸せだった。
一度は闇に生きた俺が、人を護れるのだと。一生、この人に着いて行こうと、そう誓った。
だが、そんな幸せな時間も、終わりを告げた。
ナニカが、長い眠りから覚めたのだ。
何かかは分からない。
だが、確かに目覚めたのだ。
そして、俺に襲いかかった。
周りの人間は俺を護ってくれた。だが、一瞬で灰と化した。
全てに絶望し、只殺されるのを待っていた。
其処に、銀青様が飛び込んできたのだ。
銀青様はナニカに立ち向かいながら、俺に逃げろと言った。
嫌だと言ったが、俺を死なす訳にはいかないと言われた。
俺は弱かった。俺は、師匠を置いて、逃げたのだ。
走る俺に師匠は言った。
『弱い者を助けろ。裏切られた者を助け、心を癒せ。身に巣食っている化け物を力で押し込め。とにかく人を、生き物を救え! その方が、少しはマシだ』と。
せめてもの償いとして、この師匠の言葉に従っている。
__……師匠。
__俺、頑張ってます。
__……師匠。
__ちゃんと、見守っていてくれていますか?
「大丈夫」
__!
「……はい!」
「んふふ。じゃあ……、お仕置き、しようかな」
__あ……。
がっしりと体を拘束される。
「白雪はまだ良い。だけどね、雪紫なら、もっと上手く立ち回れた筈だよ?」
俯く。
「私情を持ち込んだでしょ?」
「……はい」
「じゃあ、お仕置きだ。良いね?」
頷く。
「んふふっ。此処しばらく雪紫は完璧だったからなぁ。久しぶりだね」
「そう、ですね……」
「じゃあ、早速……」
俺の体を弄る銀紫様。




