第二十三話
「順一は黙ってて」
「黙りません。理事長に、総大将に楯突くのならば、幾らお嬢とはいえ、許しません」
「なんでよ! 私の雪紫を本気で叩くなんて、私は許せないの! 退いてッ!」
__本気で?
__総大将の本気を知らねェで、何を言ッてやがる。
「何を勘違いしているのか知らねェが、否、そもそも極道一家の者として、総大将にその態度はどうかと思うぜ」
「総大将だかなんだか知らないけど! 私の雪紫に手を挙げて良い理由にはならない!」
「そもそも、俺はお前のモンじゃねェ。勘違いもいい加減にしろ」
冷たくそう言えば、再び癇癪を起こす珠洲城花梨。
そして、銃を手当たり次第にぶっ放す。
俺達は盾となり、銃弾から総大将を護る。
盾と言っても、ただ銃弾に当たる訳じゃアない。
武器を実体化させ、それで防いでいる。
少しすると、弾が切れたのか、発砲されなくなる。
「なんで……。なんでよッ! こんなの、私の雪紫じゃない! 私の雪紫は、私を守って、助けて、キスしてくれて、抱きしめてくれる! アンタは私の雪紫じゃない! 消えてッ!」
珠洲城花梨はもう一つの銃器を実体化させる。
__機関銃か。
__これまた厄介な物を……。
「白雪、葛葉、珠洲城さンは総大将を。アレは俺が止める」
「「了解」」
「お気をつけて」
各々が返事をしてくれる。
総大将はジッと俺を見ている。
俺はゆっくりと珠洲城花梨に近づく。
「消えて! 消えて! 消えて消えて消えてッ!」
機関銃をぶっ放してくる珠洲城花梨。
飛んでくる銃弾を小屏風で防ぎ乍ら近づいて行く。
しかし、近づく程かすり傷が増えて行く。
__仕方ねェ、か。
俺は小屏風を動かしていた手を止め、棒立ちになる。
当然、俺は弾丸の雨を受ける事になる。
銃弾を受けた反動で倒れそうになるが、踏ん張って耐える。
貫通しそうになった銃弾は血液操作で体内に留めて。
思わず吐血する。
「そのまま消えて!」
もう一度機関銃をぶっ放そうとする珠洲城花梨。
「『血液操作』」
その機関銃を血で斬る。
「なっ……!?」
「……雪紫」
いつの間にか、総大将が俺の後ろに居た。
そして、俺を抱き竦め、耳元で呟く。
「珠洲城花梨を殺せ。できたら、ご褒美をあげるよ」
__ご褒美……。
「承知」
珠洲城花梨を見据える。
「い、いや……! じゅ、順一! 助けてッ!」
珠洲城さんは顔を背け、歯を食いしばる。
「『ヴァンパイアフィリア・血液操作』」
「いやだ! 嫌よ! なんで私なの?! ただ、愛されたかっただけなのに……っ」
甲高い声を上げ、泣き喚く珠洲城花梨。
__愛され、たかった……。
「雪紫」
「っ……!『奥義・血晶龍』」
足下の血溜まりが浮かび上がり、龍になっていく。
「や……、いや、いやだあああああっぁあぁぁ!!」




