第十九話
__……神威、か。
__神威組というのがあった筈だけど……。確か、随分前の抗争で壊滅して、一時的に保護したことがあったなぁ。
__神威光。
__聞き覚えがあった。保護した子供が同じ名前だ。同一人物と考えて良い。
__あの時は感情の無い目をしてたな。今は少し光が戻ってきていた。
__風間さんのお陰、なのかな。正義感が強そうだし。手を差し伸べたのかも。
__僕は、手を差し伸べられなかった。
__その時既に、僕の手は真っ赤な血で穢れていたから。
__……じゃあ、なんで葛葉は受け入れられたんだろう。
本鈴と共に教室の扉が開く。
「今日の予定の前に、しょーかいしたい生徒がいるぞ~」
教室内がざわめき始める。
「家庭のじじょーで昨日の入学式には出れなかった生徒だ~。入ってこーい」
再び扉が開き、葛葉が入ってくる。
緊張しているのか、少し動きが硬い。
__といっても、僕と白雪くらいしか分からないと思うけど。
黒板に「莱葛葉」と書き、前を向く。
「莱葛葉。雪紫とは従兄妹よ。よろしく」
「莱妹の席は一番後ろのあの席だ~」
後ろを見てみると、誰も座っていない一つの席があった。
葛葉はその席に移動し、座る。
「んじゃ、きょーの予定だぞ~」
気怠げな声と共に、各々の机に取り付けられた幻想電子板──通称PC──が起動する。
メールが一件届いているため、開くと今日の予定が書かれていた。
「それを見て分かると思うが、きょーから武闘祭の準備があるー。武術が得意な奴は居るか~?」
さり気なく後ろを向き、こっちを見ている白雪と葛葉に頷く。
頷き返されたのを確認し、手を挙げる。
僕が挙げたのを確認して挙げたのが白雪と葛葉と神威さんと風間さん。
白雪と葛葉が挙げたのを見て手を挙げたのが男子二人。
「お~、やっと挙げてくれたか。あ~っと? 莱二人と小清水と神威と風間と甲斐と鬼丸で良いか?」
鈴代先生が確認する。
「弱ったな……。一クラス十人なんだよな~」
そう言ってちらちらと三人の生徒を見る鈴代先生。
__あれは……、三条さんと五条さんと……、大原さん?
__って……。ちょっと待って!? この三人って……、刀工の子孫じゃない?!
__三条さんは三条宗近の、五条さんは五条国永の、大原さんは大原安綱の。
__うわぁ……。このクラス凄い……。




