第十一話
「楽しくなッてきたじゃねェか!」
羽織りを靡かせ、玉藻組の大将に躍りかかる。
迫り来る一本の尾を上手く去なしながら、徐々に近づいて行く。
「何故だ……! 何故当たらない! 未来が見えるとでも言うのか!」
「さァな。だが……、俺ァ今ブチ切れてンだ。本気で行かせてもらうぜ」
殺気を解放すると、さっきまで威勢が良かった玉藻組の大将が後ずさりをする。
__尻餅まで着いてやがる。
「滑稽だなァ? えェ? 玉藻組大将さんよォ。……能力発動、」
「の、能力だと!?」
「『ヴァンパイアフィリア・血液操作』」
葡萄色の魔方陣が展開され、庭内に飛び散った血が空中に浮かぶ。
浮かんだそれは、一つになり、形を作っていく。
「『奥義・血晶龍』
血がまるで水晶のように固まり、尖り、鱗になる。
そして、血の結晶でできた大きな龍が完成した。
この龍は自我を持ち、話す事はできないが、意思の疎通はできる。
「な、な……!」
血晶龍が咆哮の準備をする。
「真逆……! や、やめろ!」
「言ッたよなァ? ブチ切れてるッて。……殺れ」
血晶龍の口から幾つもの血の結晶が放たれ、玉藻組の大将を串刺しにした。
「ありがとうな。戻れ」
血晶龍は一鳴きし、ただの血の結晶になった。
「貰うぜ」
一言断ってから結晶を取り、口に含む。
__飴みたいな感覚だ。
「『血液操作・凝縮』」
巾着を取り出し、そう唱えれば掌サイズの鱗だった結晶が小さくなる。
「『血液操作』」
小さくなった結晶を巾着の中に入れ、口を結ぶ。
これは緊急用の血液だ。
結晶から血液に変えるのは簡単だからな。
「……さて。そろそろ白雪も終わるか?」
そう言った途端、何かが空へ飛んで行く。
__…………。
「終わッたようだな」
「雪紫、そっちは終わったの?」
「あァ」
話していると、何処からともなく藜組の構成員が集まって来た。
「おう手前等。片付けたか?」
元気に返事をする構成員達。
「一歩も屋敷に入れてねェだろうな?」
「入れてやせん!」
「ならよし。ンじゃ各々持ち場に戻ッて後片付けだ。また奇襲されるかもしれねェ。油断すンじゃねェぞ!」
「「「「「へいッ!!」」」」」
持ち場に戻って行く構成員達。
「終わったようだな」
声が掛かる。
「爺様」
縁側に、爺様と葛葉が居た。




