第十話
「らぁッ!」
敵の攻撃を避ける。
「っくそ! なんで当たらねぇんだよ!」
自棄になっている敵の後ろに回り込む。
「単純に、力の差だと思うが?」
「しまッ!?」
石突で敵の背を押し、持ち替えて斬る。
「……さて」
周囲を見渡すと、血、血、血。
__……ッと、思わず放心状態になる所だッた。
「お前が、藜組の五十代目か」
「……如何にも。そちらさンは?」
「玉藻組の五十代目だ」
「ほう?」
__コイツが葛葉を……。
「ところで、愚図を知らないか?」
「愚図? 何の事だ」
「隠し立てをするつもりか」
__知らねェなァ。
「出来損ないの、ッ!?」
殺気を放つ。
「出来損ない? 一体……、誰の事言ッてンだかなァ?」
「い、居るのは、分かっている! さっさと出せ!」
__声裏返ってンぞー。
「生憎と、此処に玉藻組の者は居ねェよ。此処に居ンのは、藜組の者と古清水組の者だけだ」
「と、いうか……」と話を続ける。
「玉藻組は藜組の傘下だッたはずだが……。これは、裏切りと見て良いんだな?」
「元より貴様等を利用するために傘下に入ったのだ! 忠誠心などありはしない!」
__へェ?
「なら……。手前等! 生け捕りは無しだ! 裏切り者を殺せ!」
俺の声が響いた瞬間、至る所から叫び声が聞こえてくる。
「なッ!?」
「俺達をあまり、舐めない方が良いぜ?」
そう言うと、突然笑い出す玉藻組の大将。
__あ?
「それはこっちの台詞だ! 何の能力も持たないただの人間が、我らに勝てる訳が無いだろう!」
「その言い草だと、手前等は能力があるンだな」
「当たり前だ! 我らは誇り高き九尾狐の末裔だからな!」
__誇り高き、ねェ。
「ンじゃ、手合わせ願おうか。自称、九尾狐の末裔さんよォ?」
青筋を立てる玉藻組の大将。
「図に乗るなぁああああッ!!」
「乗ッてねェよ」
勢いのまま突っ込んで来た玉藻の大将を去なし、小屏風で攻撃をする。
「……なッ?!」
しかし、その攻撃は通らなかった。
何故なら、玉藻組の大将の尾てい骨辺りから生えた尾によって防がれたから。
「それが、手前の言う能力、か」
「怖気付いたか! そのまま串刺しにしてくれるわッ!」
尾が伸び、俺に向かって急速接近してくる。
肉が斬れ、血が飛ぶ。
「こりゃ下手な刀より斬れンなァ……。楽しくなッてきたじゃねェか」
唇を舐め、小屏風を構え直す。




