第九話
「お前が壊れちまうンじゃねェかッてな」
「な、なんでそんなこと……」
「俺が知るかンなもん。……ンで、その九尾狐からお前を頼むと言われた。まぁ、それが無くてもお前を保護するつもりだッたがな」
目を見開き、固まる玉藻。
「……して、」
「あ?」
「ど、して……?」
__どうしてだァ?
「どうして、そこまでするの!? 私なんか、放っておいても貴方達は困らないでしょ?! どうして……」
「『弱い者を助けろ。裏切られた者を助け、心を癒せ』」
「?」
__『身に巣食っている化け物を力で押し込め』。
「『とにかく人を、生き物を救え。その方が、少しはマシだ』。……死んだ師匠の言葉だ。俺はそれに従ッてきた。今回も、それに従う」
俺は玉藻に向かって手を差し伸べる。
白雪が口を開く。
「……実は、私も雪紫にそうやって助けられたの」
「白雪さんも……?」
「私ね、一番最初に古清水組に産まれてきてしまったのよ。そのことで、存在を隠蔽されていた。でも、雪紫が見つけてくれたの。そして、助けてくれた」
白雪は微笑み、続ける。
「今の苦しい生活を続けるよりは、その手を取った方が、幸せになれると思うわ」
「……俺の手を取れと強制している訳じゃない。自分で考えて、お前が決めろ」
俺の手をジッと見る玉藻。
「私なんか拾っても、良い事ないよ……?」
「なんか、とか言うな。良い事が無くても、俺がそうしたい」
「私、何もできないよ……?」
「教えれば良い」
「私……で、良いの?」
「お前が良い」
__なンか告白みたいだな。
「よ、よろしく、お願いします……」
そう言って、俺の手を取る玉藻。
「よろしくな、葛葉」
「ッ! うんっ!」
__!
「来るぞ」
俺の言葉に頷き、行灯の火を消す爺様と白雪。
「な、何?」
「黙ッてな」
黙る葛葉。
外で交戦する音が聞こえる。
そして、葛葉の居る所に的確にクナイが飛んでくる。
それを葛葉を引っぱり、抱き寄せる事で回避させる。
「狙いは葛葉か。しッかし、暗闇の中、障子越しに的確にクナイを放つとは中々だなァ」
「感心してる場合じゃないでしょ」
良い音を立てて頭を叩かれる。
「わァッてるよ。……さて、爺様は葛葉を頼む。白雪、出るぞ」
爺様と白雪が頷く。
「ごめんなさい……。気をつけて!」
「おう!」
爺様が葛葉を連れて隠し部屋に言ったのを見てから、白雪に呼び掛ける。
「えぇ。『スペクトロフィリア・鶴姫』」
鶴姫が桜吹雪と共に出現し、障子を吹き飛ばす。
「手前等! 何が何でも屋敷に入れるなよ!」
「「「「「おおおぉぉぉぉぉお!!」」」」」




