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tea break  作者: ふゆき
11/30

※ 昇る朝日と甘い誘惑。

車から降りた途端、白く凍りついた己の呼気に、思わず目を細める。


痛いくらいにキィンと冷えた、夜の空気。


街の灯りは遥かに遠く。


漆黒に半ば呑まれた夜の山肌が、眼下に広がる。


昼間見たら、さぞかし絶景だろう。


ざわざわと鳴る葉擦れの音。


人の気配はまるでなく――……獣の気配が時折周囲を彷徨く他は、静かなものだ。



こりゃ、確かに穴場だが。


ちろりと背後に視線を向け。



「さぁ〜むぅ〜いぃ〜ッ」



しゃがみ込んで震えている若い恋人の姿に、げんなりと吐息を吐く。


普段はそうでもねえんだがよ。


たまーに頭がユルくなるよな、コイツ。



――……エロいことが絡むと……特に。



「そりゃおま。真冬にこんな山奥まで来りゃ、寒いに決まってっだろ」



ヘルプで入った夜勤を終えた後。


差し入れに正月料理を山ほどぶら下げて迎えにきた小鳥遊に、デートだなんだと連れ回された終着点が、ここである。


誰もいない山の中。


コイツの予定では、ここでオレといやらしいことをしながら、初日の出を見るつもりだったらしい。


この寒空に、だ。


クリスマスは当番を引き当てて、メソメソしながらも、ちゃんと仕事をこなしてやがったし。


分別はちゃんとつけている。


年末年始はふたり揃って休みだとはしゃいでいたのをダメにした後ろめたさもあって。


ちょっとくらいならまあ、機嫌をとっとくかと、了承してみたが――……。



連れてこられたのが、ここ。



たぶんおそらく、コイツの頭は、エロいことが絡むとユルくなる。



こんなところで青姦なんぞ――……凍えるわ。



デートだと言って引っ張りまわされている間は、コイツの頭もまだ、そこそこ働いていたように思う。


バーゲンセールを回って。


人を着せ替え人形代わりにして遊んで。


晩飯は、あちこちの出店で、B級グルメとかいうのを食べ歩いた。


小鳥遊があれこれ悩んで考えたらしいデートコースを巡り――……。


夜が深まるにつれそわそわしだしたのを見計らって水を向けてやりゃあ、馬鹿が。


昼間でも人の来ないような山奥まで、車を走らせやがった。



んでも、あれだ。


こんだけ寒けりゃ、約束を反故にしても、文句は出ねえだろ。



「人気のない穴場だと思ったのにィ」



「こんな山奥。誰が来るよ」



「さぁむぅい〜ッ。なんで兎場さん平気そうな顔してるの? 寒くない? 寒くないんだ?」



「んな言うほどでもねえだろ」



「だって、車のフロントガラス、もう凍りはじめてるよ?」



「オリャ、おまえと違って、強化服なんざ着けねえからなあ」



現場に出りゃ、暑いの寒いの言ってる余裕はねえしなあ。


コイツよりは、まあ。


暑さ寒さに強いかもな。



「う〜ッ」



「しゃあねぇなあ。ほれ、入るか?」



コートの前を寛げ、こいこいと手招く。


小鳥遊のがちと背が高いが。


あんだけ縮こまってりゃ、懐に納まるだろ。



「やぁだ。オレが兎場さん抱っこする」



「さいで」



背後から抱き込まれ、小さく笑う。


馬鹿なヤツ。


おまえの方が体温が高いんだ。


オレじゃ、行火代わりにもなりゃしねえが、まあ。


こうして体温を分けあうのは、案外悪かない。



「初日の出見ながらえっちしたかったのにィ。兎場さんがあっさりのかってきた時点で気づくんだったぁ」



「んだ、人を確信犯みてえに」



「だあって、寒くて無理だってわかってたんでしょおぅ」



べそべそ泣き言を言いながら、小鳥遊が服の上からオレの身体をまさぐる。


胸の突起を潰され、うなじを噛まれ。


膝頭が、下肢をゆるゆる刺激する。


未練たらたらじゃねえかよ、コイツ。


しかも、なんつーか。


手の動きがとんでもなくいやらしい。



「……ふ……ッ」



あー……くそ。


人の弱いところばっかねちねち弄くりやがって、ガキが。


おまえはオレを淡白だと思ってるみてえだがよ。


オレにだって、それなりの欲はある。


こんな密着した状態で悪戯されりゃ、嫌でも煽られるわ。


時計を見る限りじゃ、初日の出までにゃあまだもうちょい時間がある。


予報を見た小鳥遊が、時間を逆算してデートコースの予定を組んだんだ。


一戦交える時間も、計算に含まれてたに違いない。


調子にのってまさぐりだした小鳥遊の手を捕まえかけ、ふと気を変える。


オレだけ悶々とさせられるのは、不公平だろう。



「あ、ちょッ。やめッ」



仕返しだとばかり、後ろ手で小鳥遊の雄を揉みしだいてやる。


若いだけあって、あっけない。


ちょいとからかってやりゃあ、手のひらて包んだ雄が、すぐさまそそり立つ。


そういや、師走に入った辺りから、忙しくて触りっこもしてねぇもんなぁ。



「や、兎場さ……ダメ。したくなっちゃう……」



あっけなく根をあげた若者を、横目でちらりと窺う。


ダメだと言いつつ、オレの手掴んで自分のイチモツに押しつけてんの、誰だよ、ったく。



寒さだけじゃなく上気した、まろみのある艶やかな頬。


切なく寄った柳眉。


うっすら開いたあどけなさを残す唇の吐き出す、白い呼吸。


とろとろに蕩けた、甘い甘い喘ぎ声。



んー……そういう意味じゃ、長いことコイツに触ってねえしなあ。



「……おま、ゴム持ってんの?」



まあ、持ってるだろうな。


それだけのためにここまで来たんだ。


持ってないわけがない。



「持ってます、けど。でも……」



寒い、と。


小さく付け足された呟きに、喉の奥で低く笑う。


ちょっかいかけてきといて、反撃されて怯んでんじゃねえよ。


オレだって、こんな寒い場所で脱ぐ気はない。



んでも――……。



「サービスしてやる。車ン中なら……寒かねえだろ……?」



コイツの車は、シートを倒せば、後部座席が平らになる仕様だ。


本来なら荷物を積み込むためのスペースだが、構やしない。


大人ふたりが寝転がるにゃ、ちと狭いかもしれねえが。


ヤるだけだし。


ちょっとくらい狭くても、なんとかなるだろ。



味を占められる可能性もなかないが、そん時ゃそん時だ。


ニヤリと笑って目を合わせ、ちょいと唇を啄む。



「どうす……うわッ」



言い終わる前にひょいっと抱き上げられ、逃がしてたまるかとばかりに肩に担がれる。


誘ってんのはこっちだっつーのに、必死こいた面しやがって。


無言てなんだ、無言って。



やっぱコイツ、エロいことが絡むと馬鹿になるのか……。



器用にも人ひとりを担いだままでシートを倒し、ペイっとオレを投げ出して。


エンジンをかけて暖房をマックスにするなり――……がチャリとロックをかける。



あーあー……。


このガキ。


チャイルドロックまでかけやがったよ。


だから、誘ったのはこっちだっつの。



「『ちょっと言ってみただけ』、とかいうのは、いまさら認めませんからねッ!」



コートを脱ぎ捨てながら、小鳥遊がキリリと宣言する。


決め顔で言うことがソレって、おま。


男前の無駄遣いでしかねえだろ……。



「へーへー。去年いい子で頑張った小鳥ちゃんに、ご褒美のお年玉だ。そんかし――……こんなこた、滅多にやらねえぞ?」



コートを脱いで小鳥遊の物と一緒に助手席に投げ込みながら、ごそごそと下肢を寛げて忍び込んでくる手に協力して腰を浮かせる。



「滅多にってことは、いい子で頑張ったら、またしてもらえるってこと?」



「さぁて、どうだかなあ。おまえの頑張り次第?」



低く笑い、向かい合って座った小鳥遊の下肢に手を伸ばす。



「狡ッ。それ狡い!」



「なんでだよ。『特別なご褒美』が欲しけりゃ、頑張るのはあたりまえだろ?」



「むぅ。じゃあ次のご褒美は、お道具使った兎場さんのひとりエッチが見たいです、オレ」



「やんねえよ、ばあか」



ちゅ、と阿呆な言葉しか吐かない唇を啄んで、小鳥遊の肩に顎をのせる。


なんつーか。


狭い空間で半ば抱き合うみてぇにお互いの肩に顎をのっけて。


服着たまんま。


繋がるためだけに、下肢をまさぐり合うってのは、なんだ。



「なんか、すげえ悪いコトしてるみてえだよな、コレ」



「悪いコトじゃなくて、いやらしいことでしょ」



「ん、違ぇね……あ、ちょい待ち。ゴム、ゴム」



乾いたままの指先を忍び入れようとする小鳥遊の手を掴み、あわてて止める。


ローションとまではいかないが。


多少は滑りけがないと、オレがキツい。



「ああ、なるほど。ローション使えませんもんね」



言いながら、小鳥遊がどこからともなく小さな箱を引っ張り出してくる。


箱って、おま。


財布ん中に忍ばせる程度にしとけよ、可愛いげのねえ。


使いきるまでヤるとか言いやがったら、とりあえずぶん殴るか、って……。



「さっき買っといてよかったあ」



「わざわざ買ったのかよ!」



「え〜だって久しぶりだし、オレは生でしたかったんだけど、兎場さん生はヤダってよく言うから、それ口実に拒否られた時の用心的な?」



なんだ。


またいつものお馬鹿が炸裂しただけか。



つか、コイツのお馬鹿に慣れてきてるオレも、たいがいだわな。



「外で生って、おま。後始末どーすん……ん、ぅ……ばっ……か、いきなり………ッ」



「痛くはないでしょ? すんなり2本入りましたよ?」



「ちょ、こらッ。年寄りは労れ……って……」



避妊具をつけた小鳥遊の指が、繋がるためだけにソコを解しにかかる。


遠慮なく掻き回され、穿たれて。


かなり、むちゃくちゃな扱いをされる。


痛えようなことはされちゃいねぇが、久しぶりで、コレ、は……ちょい……辛い。



「小鳥ちゃん、もうちょい……ゆっくり……」



「だって、あんたがやらしいコトするから、オレもう限界なんだもん。ほら」



ガチガチになった雄を握らされ、その熱さにコクリと息を飲み込む。


嘘だろ。


なんだコレ。


まだ本格的に触っちゃいねえってのに。


なんでこんな固くしてやがるんだ。


若いっつーか……このエロガキがッ。



「ね、兎場さん。もういれてもい?」



「ったく、しょうの……ねぇ、クソガキめ…ッ」



「ふふ。兎場さん大好き」



「そりゃどー……く……ぅあ、あッ……んー……ッ」



手早く自分の雄とオレのソレにゴムを被せた小鳥遊が、いそいそとオレの中へと押し入ってくる。


熱くて太い、小鳥遊の雄。


何度含まされても……コイツのデカさに、どうしても息が詰まる。


不自然な体勢で呑み込まされる今日は、特にそうだ。


圧倒的な質量に歓喜する反面。


体内を穿つ身に余る質量が、重く腹にのし掛かってくる。



「ギチギチですけど、全部いれても大丈夫そうですか……?」



「は……いっちまえば、たぶ……へーき……ッ」



中腰で、胡座をかいた小鳥遊の上に跨がらされて。


深く含まされた雄の熱さに、小さな悲鳴をあげる。


ぞわぞわと肌を這いずる悪寒。



「あ……すげ……熱」



「あ、んたも……いつもより熱……」



熱い熱い灼熱が、腹の底からオレを灼き溶かす。


含んだ楔の与える愉悦を拾ったが最後。


いつもいつも、小鳥遊のいいように鳴かされ、蕩かされる。


悔しいが、逆らえやしねえ。


直接的な行為のもたらす愉悦だけじゃない。


コイツがオレに溺れてる表情やら。


濡れて甘えた鳴き声やら。


小鳥遊がオレで悦がってんのが――……堪らなく気持ちいい。


狭い場所で密着してりゃ、相手の興奮がなおのことそのままダイレクトに伝わって。


お互いがお互いの興奮具合に煽られて、わけがわからなくなってくる。


望まれるだけ差し出した全部を小鳥遊に持っていかれ――……。



「も、イ……きそ……ッ」



「ダ、メ……ッ。オレ、まだ……もうちょっと……」



「たかな……しッ。も、無理。限界……な、酷くしていー……から」



とっととイかせろ。


そう囁いて、がぶりと首の後ろを噛んでやる。



それが決定打になったのか。


オレも、深く深く穿たれて――……。



「ふぁ……ッ」



「くぅ……んッ!」



ふたり同時に、弾けて蕩ける。



身体の力が抜けて、達して尚硬度を保つ楔の上へ、ペタリとへたり込む。



「ひぅ……ッ」



あ……やべ。


過ぎた質量に身体が震え、頭がくらくらする。


毎回思うが……こんなもん。


惚れてなきゃ、苦しいだけだ。


奥までみっちり埋まった楔がいとおしいだとか。


コイツにゃ絶対、言ってやんねえ。



「す……っごい、気持ちよかったぁ」



「そ……ら、よかったな……も、抜け」



「え〜もうちょっと」



「二回戦は……ここじゃ、しねえか……んな」



小鳥遊に跨がったまま、視界の隅に映った瓶を引き寄せ、中身をあおる。


余韻を楽しんでる小鳥遊にゃ悪いが、こっちはもうへとへとだ。


喉を潤し一息ついて、のろのろと身体を離す。



「ふ……」



中を埋めていた楔の抜ける、なんともいえない喪失感。


抜けきる直前、人の腰をひっ掴んで引き寄せようとするクソガキをぶん殴って。


瓶の残りを口に運ぶ。



「あ、いいな。オレも一口」



「もうあんまねえぞ?」



「一口あったらいいです。あー喉乾い……け……ッふッ」



「もったいねえな。口に入れただけで吐くなよ」



口に含むなり盛大に噎せて吐いた小鳥遊から瓶を取り返し、残った中身を空ける。



「だ……って、あんたソレ、お酒……ッ」



「あ? なんだと思ってたんだ?」



身支度をざっくり整え、確かまだあったはずだと買い物袋を漁る。


封を切っていない瓶を見つけ出し、半分ほどを一気にあおる。



「待って待って、待った! あんたソレその瓶。今日ずっと飲んでたよね? ミネラルウォーターじゃなかったの?!」



「素面で青姦なんざ付き合えっか」



「うっそ! 何本か飲んでたよね? 何本か飲んでたでしょ?!」



「ダースで買って、これで最後」



「妙に積極的だし、なんっかおかしいと思ったら!」



「んだよ。エロいサービスして欲しかったんだろ?」



「うっわ、なにこの度数。ダース? ダースって言った?」



「おう。試飲したら旨かったんで、ケース買いした……っと。ほれ、ほれほれ小鳥ちゃん。初日の出」



なんでか知らんが空き瓶を握りしめてアワアワしている小鳥遊の首を抱いて寄せ、フロントガラス越しの日の出を指差す。



すっかり忘れてたが――……こりゃこれで、かなりいい眺めだな。



「素面に見える酔っ払いって……ッ。え、コレを? コレをダースで飲んだの?」



「見ねえの、初日の出」



「見てます。見てますけど、コレッ。いつの間に……」



「小鳥ちゃんがちょいと外すっつっていない間」



「薬局寄ってる間かーッ」



「そそ。おまえがエロい買い物してる間」



「…………ご機嫌ですね」



「ん? んー……おまえと一緒にいると、毎日それなりに楽しいわ。今年もよろしく?」



「こちらこそ……って。うわぁん。いまのセリフ、素面で言って欲しかったぁ」



このくらいじゃ、ちょいと気分が高揚する程度で、正気を失うほどじゃあないが。



いつも振り回されてんだ。



たまにゃ、おまえが狼狽えてろ、バーカ。










※ 程よく酔っ払うとウサギさんの性悪エロスイッチが入っちゃうよ、といふ話 ※











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