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異世界でバスの運転手やってます。リブート  作者: 福千光栄


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異世界斡旋所1


 斗馬は異世界物にハマっていた。漫画、アニメ、小説など異世界物をこよなく愛していた。いつか異世界に行くチャンスが訪れたら戦闘は極力行わず、目立たずスローライフを送りたいと本気で思っていた。


 バスの中で魔法陣を見た時、もしかしたらと思っていた。これは異世界に呼ばれているのではないかと‥。

 きっとこの後、目を開けると白い空間で神様と邂逅することになるであろうと‥。


 斗馬は勢いよく目を開ける。

 お約束の神様に出会えるかもしれないと期待を込めて。


 そして固まる。


 斗真の目の前に広がるのは神様と邂逅する真っ白な空間ではなく、見知った役所のロビーのような場所であった。


◇◆


「No.8の方、四番窓口にお越し下さい。」


「手続きの終わられた方は、緑の線に沿ってお歩き下さい。」


 役所のような場所では、淡々と業務が行われていた。


 その光景に斗馬が呆然としていると、背後からおばさんに声をかけられる。


「整理券とった?早く取らないと手続きが遅くなるよ。」


 とりあえず日本語が通じて安堵するが、想像とは違う感じに戸惑っていた。


 とりあえず、ここでは大声を出したりして目立ったり迷惑をかけないように冷静を装うことにする。


「あの‥、ここは何処ですか?」


 どうしても聞けずにはおれず、思わずおばさんに尋ねてしまう。


「はぁ?

 そんな事も知らないのか?

 ここは異世界斡旋所だよ!」


 目の前のおばさんが、若干馬鹿にしたような顔をする。


 なるほど‥、異世界斡旋所ときたか。

 なるほど、なるほど。

 知らないのは初耳なので当たり前だとは思うが、ここは納得はしないが理解する。


「ちなみに神様はいらっしゃるのですか?」


 この後に出会えるかもしれないので尋ねる。


「神様?

 ここにはいないよ。忙しいお方だから中央にいるはず。」


 神様、いるんだ。

 中央ってのがわからないが、忙しいのだろう。


「ちなみに貴女はどのような存在ですか?」


 俺の問いにおばさんは面倒くさそうな顔で答える。


「質問の多い子だね。見てわかんないの?私も受付で働いている子も、皆んな天使だよ。

 これだから最近若い子は‥」


 斗馬は落胆する。目の前のおばさんに失礼だが、天使といえば透けそうな衣装に羽、そして頭には輪っかがあるイメージである。

 それがこんな作業着のおばさんだとは‥。


「ちょっと、あんた失礼な子だね。

 異世界じゃなくて地獄にでも行く?」


 おばさんから尋常じゃない殺気を感じる。


「大変失礼致しました。」


 斗馬は咄嗟に深々と頭を下げて、謝罪する。

 ってか、何で俺の考えた事がわかったの?

 あっ、天使だから俺の考えがわかるのか!あちゃぁ、これは失敗した。


「次はないからね!」


 その後、誠意ある謝罪を繰り返し、何とかおばさんに許してもらえた。


◇◆

 

 おばさんといろいろあったが、整理券を無事に取ることが出来た。

 ちなみに斗馬の番号は30番だった。


 その後、椅子に座って待っているが一向に番号を呼ばれる事はなかった。

 仕方がないので、先ほどのおばさんに声をかける。


「すみません。

 時計やスマホがないので正確な時間はわからないのですが、たぶん2時間ぐらい経ってると思います。

 全然番号が呼ばれないのですが、後どのぐらいでしょうか?」


 おばさんは俺に声かけられて、若干嫌そうな顔をする。

 ちょっ、露骨に嫌がってるよ。

 さっきはごめんって。


「2時間待ってるだ!

 そんなわけないだろ?

 ここの受付は待たせないのが売りだよ!

 それが2時って‥

 あり得ない!

 ってか、ボウズ!

 お前の番号は何番だ?」


 おばさんがキレ気味なのが気になるが、30番の整理券を渡す。


 おばさんは俺から整理券を受け取るとダッシュで受付に突進する。

 その迫力に受付の女性が涙目になっていた。


 受付の女性とおばさんが何かを話しているが、距離があるのでこちはには聞こえない。ただ、おばさんの眉間の皺がどんどん深くなっているので芳しくはなさそうだ。


 おばさんがゆっくりとこちらに戻ってくる。その雰囲気から良い感じではないのがわかった。


「あー

 その‥

 なんだ‥」


 おばさんが分かりやすく言いにくそうだ。


「何があったかはわかりませんが、おばさんのせいではないのでありのままを教えて下さい。」


 俺の言葉におばさんの口が動く。


「すまんが、お前さんは今回の対象者じゃなさそうなんだ。

 こんな事は前代未聞なんだが‥。

 何かの間違いでココにいる。」


 おばさんの言葉に頭が白くなるのであった。

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