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異世界でバスの運転手やってます。リブート  作者: 福千光栄


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1/7

壊れる日常

「異世界でバスの運転手やってます。」のリブート物です。

前作を読んでいなくても全然問題なし。

面白くなければ読み飛ばして下さい。

わざわざ面白くないとの感想は不要です。


「ご苦労様。」


 久しぶりに降車するお客さんに声をかけられ、思わず口元が緩む。


「ご乗車、ありがとうございます。」


 お客さんとの何気ないやり取りだが、この瞬間がたまらなく好きだ。


 伊集院斗馬はバスの運転手である。


 子供の頃に読んだ絵本の影響でバスの運転手に憧れて、そのまま就職までしてしまったのだ。


「何か思ってたのと違うなぁ。」


 運転手に成りたての時は希望に満ち溢れていた。絵本で見たような乗客との楽しいやり取りが出来ると‥。


 だが、現実は違った。


「ご乗車、ありがとうございます。」


「‥‥‥」


 9割以上、何の返答もない。

 別に返答でなくても、会釈とか笑顔とかでも何でもいいからお客さんとコミュニケーションをとりたかった。


 そんな悩みを先輩の運転手達にぶつけてみたが、こんな言葉が返ってきた。


『幻想だよ、幻想!』


『無視されるのが方マシだよ。

 俺なんかブレーキが雑とか、1分遅れたとかクレームばかり入れられるよ!』


『コミニュケーションだぁ?

 いつの時代の妄想だよ。

 都会にあるわけがない。

 ど田舎ならワンチャンあるかも。』


 もちろん、そんな先輩たちの言葉には挫けず、今日もバスに乗り続けている。



◇◆


 斗馬が運転するバスがとある高校の前に止まる。ちなみに、ここは地方なので乗車口は真ん中にある。


プシュ


 バスの扉が開くと高校生達がどっと乗り込んでくる。

 時間帯がピーク時でなかった為、並んでいた高校生全員がバスに乗り込むことが出来た。


 全員が乗り込んだのを確認し、斗馬が扉を閉めようとするとバスに走ってくる男女を見つける。


 ただ距離があるため出発時間には間に合いそうにない。


 時間を遵守する普段の斗馬であれば扉閉めて出発していたが、毎朝見ている占いで『困っている人がいたら助けてあげましょう。』と言っていたのを思い出して、彼らが到着するのを待ってあげる事にする。


 この行動が斗馬とバスに乗っていた人達の運命を大きく変えることになる‥。


 その後、男女がバスに乗り込んだのを確認し扉を閉め、今度こそバスを出発させる。


「毎度ご乗車ありがとうございます。

 このバスは姫島高校経由、東千賀車庫行きでごさいます。

 また車内では携帯電話での通話はお控え下さい。」


 よし!噛まずに言えた。時々噛む事がある斗馬は噛まずに言えたことが、先程の男女を待ってあげた事で占いの効果があったのだと感じ、神様に感謝するのであった。


 ちなみに最近のバスの案内はコンピュータの自動読みが支流だが、斗馬はそれだと素っ気ないので自ら案内するようにしていた。


◇◆


 斗馬が気分良くバスを走らせていると、急にバスが停止してしまう。


 スピードはあまり出ていなかったが信号でもないのに急に止まったことで、乗っていた高校生達からは抗議の声があがる。


「俺、ブレーキ踏んでないのに‥」


 斗馬は焦っていた。


 ブレーキを踏んだわけでもないのにバスが急停止してしまったからだ。


 しかもその後にアクセルを踏んでもピクリとも反応しない。


 過去にもいろいろとバスの故障はあったがこんなことは初めてだ。


 斗馬が何とかバスを走らせようと悪戦苦闘していると、車内の高校生から悲鳴があがりだす。


 何事かと斗馬が急いで振り返ると生徒達の足元に漫画などで見た事がある魔法陣のような物が浮かび上がり、バチバチとスパークが発生しはじめる。


 訳がわからないが、とにかく生徒を避難させようと扉のスイッチを押すが、扉は開かない。


 そうこうしている間に魔法陣が点滅を始める。


「逃げろ!」


 斗馬は何も出来る事がなく、叫ぶしかなかった。


 魔法陣が爆発したかのように光を放つ。

 まるで目の前でフラッシュをたかれたような光を目に受けてしまう。


 斗馬達が魔法陣によってどこかに消された瞬間、この世界から斗馬達の存在が消去される。


 この世から存在が消えたことで、高校からは生徒が減り、バス会社は乗務員とバス一台が減り、各家庭からは家族が減っていた。

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