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第二が裏でなにをしているのか、本番はこれからだ

 映像が流れ出す。そこは射撃場であり的の前に立つ人物はエフェクトを装着している。それも全身の完全装着だ。ブルーカラーのパワードスーツを身に纏い手元のテーブルにはいくつもの銃器が並んでいる。


『レベル59、両腕強化発動します』


 女性のアナウンスがエフェクトスーツから発せられる。


『レベル36、エイムアシスト発動します』


 エフェクトの人物は机に置かれた銃器を取り射撃していく。二丁拳銃だ。もしくは片手では扱えないようなアサルトライフルも使って的を当てていく。どれも命中、中央を正確に射貫いている。おまけに体勢のブレはない。射撃の反動を無理矢理抑え二丁拳銃を成立させている。生身では到底無理な射撃だ。


 信也から聞いた襲撃犯の二人、あれと特徴が一致している。違うのは全身をエフェクトで覆っているスーツだ。加えてこの精密射撃、高性能なのは間違いない。


 だがこれに不満の声が混じる。


『これだけか?』『もっと開発を進めろ』『片手で銃器が使えるくらいではお話になりませんね』『こんなものあの男のエフェクトと比べれば欠陥品だ』


 映像外から話し声が混じる。ただしくぐもっているので誰の声かは判別が難しい。


『ジャッジメント! 気づかれたわ、警備部隊がそっちに向かってる!」

「まだ時間が掛かる」


 そこで伊吹から報告が入る。さすがにばれたようだ。警備兵が向かっているようだがダウンロード画面ではまだ三〇%だ。時間を稼がなくてはならない。


 錬司はデスクトップにシーツをかけ姿を消した。暗がりの廊下の向こうからこちらへ走ってくる足音が聞こえてくる。


 やってきた警備部隊は全員が全身をエフェクトで覆い銃を持っていた。ブラックカラーのパワードスーツ部隊、こんなものは見たことも聞いたこともない。


『エフェクト!?』

「…………」


 禁止エリアに配置された警備隊なだけあって強力だ。仮に異能が弱くてもエフェクトの装甲だけでも脅威になる。


「侵入者は見当たらない」

「気をつけろ」


 錬司は息を潜め部屋の隅で待つ。ダウンロードの画面はまだ五〇%だ。


「サーモグラフィに切り替えろ」

「いたぞ!」


 見つかった。熱源探知に引っ掛かってしまう。警備隊が一斉に銃口を向けてくる中錬司は逃げるのではなく駆け寄った。相手の銃身を掴み上に向け相手の顔を殴る。銃が天井を撃ち錬司は相手を背負い投げると銃を奪い取りそのまま叩きつけた。


 他の警備隊が発砲する。それをスライディングで躱しデスク下に隠れる。狭い室内に銃声が響きマズルフラッシュが点滅していく。すさまじい発砲音とデスクが壊れる音が室内に反響する。


 錬司はパソコンを浮遊させ投げつけた。敵が怯んだ隙に近づき銃身を掴んだ腕とは別の腕で肘打ちし壁に激突させる。もう一人の警備が銃口を向けてくるがそれを許さずアークで浮遊させ壁に衝突させた。


 それで沈黙。敵を無力化した。


『ダウンロード完了したわ!』


 USBを抜き取り錬司は部屋を抜け出した。廊下を走り来た道を戻って屋上へと着地する。


『収穫はあり、ね。喜べないけど』

「第二が裏でなにをしているのか、本番はこれからだ」


 USBを見つめる。保管庫で見つけた様々なこと。あれはいったいなんなのか、なんの目的があってこんなことをしているのか。


 エフェクトの武器化。そしてこのタイミング。脳裏に友人から聞いた言葉が蘇る。


 アカデミア戦争。


 自分の知らないことがこの町で起きているのは事実だ。それがなんであれエフェクトの暴挙を見過ごすわけにはいかない。


 獅子王宗作の息子として。エフェクトを継ぐ者として。


 錬司はUSBをしまい夜空へと飛び立つ。黒いコートの袖が闇夜にはためき、あとには静けさだけが残された。


*


 第二の保管庫に侵入してから。錬司は気づけば自室のベッドの上で横になっていた。


「ん」

「気が付いた?」


 ジャッジメントの外套は脱いでいる。上半身は裸で割れた腹筋とたくましい二の腕が露になっている。伊吹はソファに座ってノートパソコンを覗いており錬司が目を覚ましたことで近づいてくる。


「なにがあった?」


 上体を起こす。いつ寝たのか、そもそもどうやって自室に戻ったのかも思い出せない。


 自分は第二を発ってレオンカンパニー本社に戻ってきた。しかしそれから今までの記憶が曖昧だ。額に手を当ててみるがすぐに思い出せない。


「覚えてない? あんた戻ってくるなり泥のように眠っちゃったのよ?」


 振り返る。彼女は至って平気な様子だ。そこまで大事ではないがそれでも心配はしてくれている。

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