まったく、なにが起こってるんだ
一番は警察に行くことだが嫌がっている本人を無理矢理連れて行くのも気が重い。となるとどこへ行くべきか二人は考えるが、思い当たる場所は一つしかない。
「なあ、俺たちの学校に来ないか? アークアカデミア。そこの生徒会ならなんとかしてくれるだろ」
「アークアカデミア?」
東京タワーくらいここでは特に有名な場所だが聞き覚えはないようだ。
「そう、私たちが通ってる学校なんだ。生徒会の人たちはみんな良い人だし大丈夫だよ。それにみんな強いんだ、だから襲われる心配もナッシング!」
姫宮満面の笑みに信也も頷く。襲われる危険を鑑みればアークアカデミアは安全だ。
「まずはそこに退避しよう。ここにいるよりはマシだと思うぜ?」
「そう、だな。二人を信用しよう」
やることは決まった。まずは水色の髪をした女の子、花崎青華をアークアカデミアまで連れて行く。せっかくここまで来たのだが仕方がない。
彼女の車いすは姫宮が押し信也は電話を掛ける。天王寺や生徒会に伝えなきゃいけないし、それに錬司にも断りの連絡入れないといけない。
スマホを取り出し錬司に電話を掛けた。
「もしもし、錬司か。すまないが事件だ、行けなくなった」
『事件?』
不穏な響きに錬司の眉が曲がったのがここからでも分かる。
「一応言っておくけど出動の合図じゃないからな? 実は行く途中襲われてる女の子に遭遇してさ、今その子をアークアカデミアまで連れていくところなんだよ」
『物騒だな、異能繋がりか』
「なんでそう察しがいいんだよ、そうだけど」
警察ではなくアークアカデミアに連れていくってところから推理したのか、相変わらずもの推察力だ。
「よく分からないんだがたぶんエフェクトを付けたやつらに襲われてな」
『ほう?』
「だから悪いが待ち合わせはキャンセルだ、また頼む」
こんな事態だ、優先順位から突然のキャンセルも止む無しだと彼なら分かってくれるはず。
『分かった。ちなみにエフェクトなんていつ知ったんだ?』
「襲われたその子がエフェクトだって叫んだんだ。あれがそうなのか? 俺は初めて知ったよ」
『そのエフェクトの特徴は?』
「二人組の男性、大人。両腕にグレーのパワードスーツみたいなのを装着して両腕にアサルトライフルを持ってたよ。射撃も見たけど両手打ちのような精度だった。片手とは思えなかったよ。それがエフェクトの恩恵ってことか? まったく、ここはいつからアサルトライフルの西部劇になったんだ」
『知るか、学園に入るまで気をつけろよ』
「分かってるよ、じゃあな」
通話を切ってスマホをしまう。それで話していて気づいたことを聞いてみた。
「花崎さんは記憶がないってことだけどさ、そういえばエフェクトのことは知ってたよな?」
「そうだ、花崎さんエフェクト詳しいの?」
「その、なんでだろうな。あれを一目見た時からあれがエフェクトだと知っていた。なぜ」
考え込む。自分で自分を不思議がっている。その顔は深刻で自分のことが分からないってのはけっこう怖いことなんだと信也は見て思った。
「きっとエフェクトと関係が深かったんだろうな。俺は全然知らないからすごいよ」
よほど印象に残ってないと分からないことだ、記憶を失ってるのに分かったとなれば彼女にとってエフェクトとは常識レベルのものだった可能性が高い。
エフェクト、第二の異能。信也は詳しくないけれどここで事件は起きた。
アークアカデミアでは生徒会とアークで戦い、これからはフォースとの戦いが控えている。かと思えばエフェクト関連で事件とは。
「まったく、なにが起こってるんだ」
信也は空を仰いだ。やれやれと嘆息する。
自分の知らないところでいろいろ起こり過ぎだ。




