エフェクト? あれが?
もう一人が怒鳴る。アサルトライフルなんて反動が大きな銃を片手で扱えるはずがない。だが男の両腕にはパワードスーツが付いている。油断はできない。
「信也君……?」
姫宮が不安そうに聞く。そこで男の腕が動いた。アサルトライフルが持ち上がりこちらに向けてきたのだ。
「こいつらの言う通りだ、お前たちはさっさと逃げろ! こいつらはエフェクトで武装している、早く逃げろ!」
「エフェクト? あれが?」
女の子が叫ぶ。あれがエフェクト、第二の異能。しかしそうは言ってもあれはどう見てもロボットだ。異能というには概念からして違う感じがする。
しかし現に男たちは両腕で二つのアサルトライフルを扱い自分たちに銃口を向けているのだ。普通ならば無理。その反動で肩が壊れかねない。
この男たちは危険だ。そんなの見た時から分かってる。でも、それならなおのこと。
答えは一つ!
瞬間銃声が鳴り響いた。
「があ!」
その直後男の一人が声を出しアサルトライフルが地面に落ちる音がする。
「なんだと?」
「なんだお前は」
「お前……」
そのことに男たちだけでなく倒れている女の子も注目する。そこにいるのは一瞬で青のジャケット姿に変身し拳銃を握っている少年の姿。
彼らとは違う、第三の力だ。
「おせえよ、異能戦じゃ命取りだぜ? お前、異能者と戦ったことないだろ?」
「信也君やっちゃえ!」
「お前、なんだそれは?」
男たちが驚いている。それも当然、ただの少年だと思っていたのが一瞬で服装を変え持っていなかったはずの銃まで取り出したのだ。
なぜそんな事が起こる? これはなんだ? 男たちの表情は疑問を浮かべ信也は得意げに笑う。
「俺はランクAアーク、パラレル・フュージョンを発動していたのさ!」
信也がエフェクト初心者のように彼らもアークは初めてのようだ。無理もない、ここは第二区画。第二異能が主力の場所でアークが現れたのだ。
「アークホルダーは初めてか?」
信也は拳銃をくいくいと動かし煽る。
「銃で武装した二人組が女の子を攫おうとしててなんでもないって? お前それ警察の前でも言えるのかよ?」
「そうだそうだ!」
「これがアーク……」
女の子も信也の変身を興味深そうに見つめている。自分の危機的状況においてもなお信也の見せたアークは観察するに値するものだった。
第二区画。エフェクト最大勢力に現れた第三の能力。それは文字通り異なる能力、異能。アークアカデミアではあまり見なくなった反応が斬新に思える。
「ち、アークホルダーか。どうする? こんなの聞いてないぞ」
「手ぶらで帰れるわけないだろ! もういい、やるぞ!」
男たちの目つきが変わる。どうやら追い詰められて逆にやる気になったようだ。
『レベル27、アサルトモード発動します』
女性のアナウンスが流れ男たちが銃を構える。一人はアサルトライフルの二刀流。三つの銃口を向けられるのはかなりの迫力だ。普通なら出鱈目な射撃になるんだろうが、しかし違うと確信できる。
三つの射線が信也を捉える!
すぐに危険だと判断しワイヤーガンに切り替え射出、この場を離脱する。その背後を銃弾が通っていった。
危ない。それを思うと同時射線が安定していることにも驚愕する。
信也はワイヤーガンで移動しつつ両者に手榴弾を投げ込んでいく。二人は慌てて逃げ出し手榴弾は爆発した。すぐに振り返り銃を構え、信也も着地するなり二丁拳銃で男たちを捉える。
向かい合うのはほぼ同時。
銃は一発当たればいい。勝負は一瞬。この今にすべての神経を集中する。
すべてを決する早撃ち勝負。ならばガンスリンガーで負けるはずがない。ライフル二丁もこの場では飾りに過ぎず。
本物のガンマンが二人の銃を弾いた!
「な!」
「くそ!」
男たちの射線が大きく逸れる。その隙に腕部の金属パーツに銃弾を撃ち込んだ。あれが壊れればただの重りだ、アサルトライフルなんて持てなくなるはず。
信也の攻撃に男たちは腕を交えガードした。胴体や顔を隠す代わりにエフェクトは被弾していく。が、すぐに壊れる感じはしない。
「くそッ」
見た目通り頑丈だ。だが方法はまだある。
「ガンスリンガー!」




