これから会いに行くのって錬司君のとこだよね?
アーク大運動会に現れた第一アカデミアの襲撃犯、これに注目してたけど現れたのはこいつらだけではない。
ジャッジメント。アークホルダーの噂話。高ランク狩りを行うという都市伝説。それが初めて公の場に現れたのだ。それが襲撃犯を撃退し倒れる台から観客を救った。恐怖の象徴だったのが今では救世主だ。と言いたいが、その後四天王をまとめて倒してしまった。なんということだ、信也は手も足も出なかったというのに。敗北感だ。というかこっちもこっちで凄すぎる。ヴィクターとジャッジメント、いい勝負かもしれない。
「ジャッジメント。また厄介な存在がいるな。あれも対処も必要か」
「あー、えっとだな」
彼の正体を知っている信也としてはこの流れはよくない。どうしたものか悩む。素直に言うわけにもいかない。
ジャッジメント。その正体は獅子王錬司。高ランク狩りを止めるため戦った相手はまさかの中学時代の友人だった。信也と錬司は戦い、敗れた錬司は今ダウンフォール刑務所にいる。このことを知っているのは信也と姫宮、あと学園くらいだ。だから生徒会からすればジャッジメントも第一と同じ危険人物扱いとなっている。
そこまで考えて思いつくが、あの場所にジャッジメントがいるのはおかしいのだ。ダウンフォール刑務所から出たなんて話は聞いていないし刑期はまだ先のはず。それに錬司は元第一アカデミアの生徒だ、なにか第一について知ってるかもしれない!
「それの件なんだが俺に任せてくれないか?」
「なぜだ」
天王寺が横目で睨む。まずい、怪しまれている。
「まー、そのー。ほら、いろいろあるんだよ」
ここで正直に言うわけにもいかずなんとか誤魔化すしかない。
「それと第一についてだが友人に元第一の生徒がいたんだったわ。もしかしたら内情が知れるかもしれない。まあ、重要なことまでは分からないだろうけど第一の雰囲気、とか? なにか手がかりは得られるかもしれないし」
「…………」
「はははは……はは」
鋭い目が未だに向けられる、まるで罪人だ。
「まあいい。ではそれらについては頼んだぞ」
「お、おう!」
なんとかなった!
「よかったのですか?」
「好きにさせろ、その方が働くやつだ。少なくとも会長はそうだった」
「?」
「いや、こちらの話だ」
なにはともあれまずは錬司との連絡だ。もしかしたら協力してくれるかもしれない。彼が味方になってくれれば心強い。
善は急げという。さっそく行動だ。
「なら今から連絡取ってみるわ」
信也は生徒会室から出てスマホを取り出す。錬司に電話を掛けてみる。
通話口から呼び出しの音が聞こえる。出るだろうか、本当なら錬司はまだ刑務所の中のはず、しかもあんなことがあった後だ、もしかしたら出ないかもしれない。
そんな不安を巡らせ無理かなと思った頃。
『なんだ』
「錬司!」
出た! 出ていた。
『そうか、そういえば知らせてなかったな』
「出てたのかよ!」
ジャッジメントとしてアーク運動会に出たのだから当然なのだがこうして話をすると実感する。
「いろいろ驚いたよ、そんでもっていろいろ聞きたいことがあるんだ。今っていいか?」
どうして外にいるのか、大運動会にどうしていたのか、今なにしてるのか。聞きたいことは山ほどある。
対して錬司は考えるような間を置いた。
『仕方がないな。分かったよ。電話ではあれだ、レオンコーポレーション本社まで来てくれ』
「? 分かった、そこで待ち合わせだな」
指定の場所に違和感を覚えつつ了承する。なぜレオンコーポレーション本社なのか、近くにいるのだろうか?
レオンコーポレーション本社はアークシティ第二区画にあるビルだ。行ったことはないが知っている、有名な企業だ。
「じゃあな」
錬司に今から向かうと言って電話を切った。扉を開け部屋に戻る。
「悪い、連絡取れたから俺行くわ。なにか決まったらあとで教えてくれよ」
「それなら私も信也君と一緒に行こうかな。その人の話気になるし」
姫宮が席を立つ。錬司に会いに行くのを察したようだ。彼女も錬司のことが気になるのは分かる。
「分かった。お前もなにか有益な情報を得たならすぐに知らせろ」
「はいよっと」
「それじゃ行ってきまーす」
「気をつけていくのよ~」
時雨の穏やかな声に見送られ二人は学園の外へ出る。姫宮と並んで歩いていった。
「これから会いに行くのって錬司君のとこだよね?」
「おう。どうやら出所してたみたいだな。例の件があったらかそうなんだろうけどさ、驚いたよ」
出たら出たでそう教えてくれればいいものを。もしかしたら事情があったかもしれない。




