【第2部】エフェクト編
プロローグ
命の儚さを知っている。消耗品でしかないから。
命の使い方を知っている。使命があるから。
銃声と硝煙の中で命を金に変えて戦った。
いつしかそれは生き方となり人生になった。
なぜ戦うのか、なぜ生きるのか。最初の動機はもはやどうでもいい。
戦場は生き方を変える。同時に生きる意味も書き換える。大事なことは生きることじゃない。
どう生きるかだ。
私の生き方が私の人生になったんだ。
だからこそ、私は。私には――
戦場が必要だ。戦うことが、私の人生になったから。
遠くから響き渡る銃声と爆発音に急かされ私は車輪を回す。両腕に力を込めて、思いの限りを注ぐ。使い物にならなくなった両足の代わりに車いすが前進する。
私はまだ死ねない。死ぬのはいい、でもまだだ。動かない足がもどかしい。角を曲がるためいちいち減速しなければならない車いすが忌々しい。廊下を走る、それだけのことが今の私には歯がゆい。
地獄のような日々だったはずなのに、なぜだろう。今では輝かしい日常のように蘇る。そこには仲間がいた。硝煙の匂いに血が混じり、銃声が響き渡った後には笑い合った。もう戻らないあの頃が懐かしいのか。ひどい場所なのに確かにそこには仲間がいた。そこで戦える私がいた。
だがどうだ、見るがいい、この情けない姿を。誰が責めるわけでもないのに私は自分を卑下してしまう。それか悔しいのだろうか。
兵士としての私はもう死んだのに。
でもまだだ、私は生きている。戦えなくてもやれることはある。
私は部屋の前にたどり着きハッチが開く。コンソールで装置を起動しカプセルの中へと入る。行先は吟味している暇はない、アークの反応が強いところを適当に。運の要素が強すぎるのは主義ではないが仕方がない。
足音が近づく。何人もの敵がこっちに向かっている。
カプセルの扉が閉まる。私は振り向き改めてこの部屋を見渡した。もうここに戻ってくることはない。ごめん、みんな。でも私は生きるから。
滅亡する世界に別れを告げ私は別の世界へと移動する。カプセルの中が光で満ちていく。
悲しみや寂しさ、そんな思いはこの世界に置いていこう。代わりに持っていくのは決意だけでいい。
やつらはすぐそこまで来ている。知らせるんだ。
アカデミア戦争を。
それがもう、始まっていることを。
エフェクト編。




