では次が最後の問題です! 第三問! おおっと、これはサービス問題ですよ!
「信也選手。どうしたんですか」
「だからどうしたじゃねえよ、おかしいだろ! なんで調味料って問題なのにベーコンなんだよ。それ目玉焼きに合う食材だろ? ベーコンは調味料じゃないだろ」
「ではですね、調査で得られたアンケートを紹介していきます。えー、まずはこちらの方。目玉焼きにはベーコンですね。いつもすり下ろしたベーコンをかけて食べてます」
「お前だけだわ、普通に食えよ」
「目玉焼きにベーコンの油が合わさってめちゃくちゃおいしいんだよね」
「まあ、それはそうかもしれないけど」
そこで姫宮がつぶやく。
「ベーコンの油売ってないかな~」
「あるか。ベーコンの油だけ瓶詰めにして売っても固まって廃業油みたいになるだけだわ。てかラードでいいだろ」
「ちょっとなに言ってるのか分からないかな」
「なんでだよ!」
「さあ、今のところ姫宮選手が大きくリードしています。対して信也選手は一点も取れていません。苦戦しているようですが信也選手、今のお気持ちをどうぞ」
「お前らいい加減にしろよ」
「さあ次が最後の問題です。しかしこのままでは信也選手に勝ちの目はありません。なので! 次の問題に成功した人には……一万ポイントぉお!」
「じゃあ今まではなんだったんだよ!」
「うおおおお! 一万ポイントぉおお!」
「なんでお前が喜んでんだよ、自分の有利がなくなったんだぞ」
「では次が最後の問題です! 第三問! おおっと、これはサービス問題ですよ! 信也選手、これは簡単ですよ! サービス問題です。信也選手、これなら信也選手でもいけますよ!」
「なんで何度も俺に言うんだよ。さっさと言えよ。どうせ俺じゃダメなんだろ……」
もう諦めている。
「第三問目のお題はこちら! 日本相撲、初代横綱は明石志賀之助ですが……アメリカの初代大統領は誰!?」
「ふふ」
「さあ信也選手、答えられるか。信也選手!」
「もうさ~~~」
「信也選手。最初と同じ問題ですよ。覚えていれば答えられるはず。どうだ信也選手、答えられるか」
ピンポーン! 信也がボタンを押す。ダメ元でも答えないよりはマシだ。
「さあ信也選手ボタンを押した! これが最後の問題、答えをどうぞ!」
司会に促され信也は考える。
これはクイズ大会じゃない、この司会者がとぼけているがどう考えてもこれは大喜利大会だ。なるほど、クイズでは四天王の未来視に微不利だと踏んで大喜利大会に切り替えたのか。それなら勝負は笑いのセンス、異能も関係なくなる。
ここに正解はない。あるのは面白いかどうか、それだけ。ならここで一番笑いに繋がる答えとはなにか?
信也は考え、ゆっくり答えていく。
「……ハルク・ホーガン!」
さあどうだ、信也が編み出した渾身の答えは正解なのか!?
ブッブー。
「おいいいいいいいい!」
「あの、真剣にやってもらえます?」
「ふざっけんなよお前!」
もうめちゃくちゃだ。
「なにがですか。なにがですか」
「だってお前。なあ。なんで姫宮がふざけた時は正解で俺がふざけて答えたら不正解なんだよ。おかしいだろ!」
「いやいやいや、不正解は不正解なんで。それにハルク・ホーガンさん今でもご存命ですよ? アメリカの初代大頭領のわけないじゃないですか、真面目にやってもらえます?」
「おいいい! じゃあさっきのこいつの答えはなんっだったんだよ!」
「あの、こっちは遊びじゃないんで。ふざけてやってるんなら退場してもらいますよ」
「お前……マジでふざけんなよぉ~!」
「では信也選手は不正解だったので回答権は姫宮選手に移ります。では姫宮選手、答えをどうぞ!」
「ストーン・コーン!」
「正解ぃいいい!」
バン! 信也は机を叩いた。
「やったぁあああ!」
「姫宮選手三回連続正解で一万二ポイント! ステージクリアぁあああ!」
「いぇえええええい!」
「信也選手。信也選手!」
「なんだよ……」
「どうしたんですか、なんで不貞腐れてるんですか、なんか納得してないご様子ですけど」
「ふふ。当たり前だろ」
「なにが当たり前なんですか」
「なんでストーン・コーンなんだよ! テキサスのガラガラ蛇って呼ばれてる男だぞ!? それで正解ならハルク・ホーガンでもよかっただろ!」
信也は訴えるが抗議は受け入れてもらえず姫宮の進出となった。観客席からは拍手と笑い声が送られていた。その中で信也の荒い声だけが響いていく。
直後、どこからか爆発音が聞こえてきた。
「なんだよ、今度はなんの演出だよ」
「いや、聞いてないよな? なあ?」
「はい」
「え」
司会者と関係者も確認しているが知らないようだ。その後悲鳴も聞こえてきた。
「なんだ? なにが起きている?」
今までの楽しかった雰囲気は消え去り緊迫した空気が張り詰めている。
そこへ警備の者が駆け寄って来た。
「皆さん避難してください! 我々の誘導に従い速やかに避難をお願いします!」
ただ事ではない。本当に危険なことが起こっている。
「なにが起きてるんです?」
「アーク大運動会は中止です! 現在アークアカデミアは襲撃を受けています。我々が護衛しますので避難所まで移動を開始してください!」
「襲撃!?」
その言葉に衝撃が走る。同時にいくつもの疑問が津波のように押し寄せた。
「なんで、どういうことだよ!?」
誰が? どういう目的で?
分からない。信也には分からない。突然の非常事態に騒然とした会場を目の当たりにしておきながら信也は未だ現実感の薄い感覚の中にいた。
だが、一人だけこの事態でも動じない生徒がいた。
「このタイミングで来るか」
信也がいる中庭とは別、生徒会室の椅子で報告を受けた天王寺は立ち上がっていた。その目は鋭く刀を手に部屋を出る。
時は来た。誓いを果たす時だ。なぜ自分がここにいるのか、その意義を示す時だ。
まるで戦場に赴くように、天王寺は戦意をまとい歩くのだった。




