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おーっと! 早速アークのお披露目だあ!

 第三章


「座標は合ってるんだろうな?」

「はい、問題ありません。すでに先遣も着地済み、連絡を受けています」


 男の確認に傍らの技師が答える。男の正面には円形の装置が起動しており中は時空の渦が白く巻いている。


 その前に白い仮面で表情を隠した男が立っている。白のロングコートを羽織った男はかなり奇妙だ。しかしそれを指摘する者はいない。不思議に思うことはあれそれはここではタブー視されている。誰も彼の素顔を知らない。だが誰しもが彼に従っている。


「現地の様子は」

「はい。イベントの進行は予定通り。こちらの準備も整っています。いつでもいけます」

「ハッ。あの小娘、無様に逃げ出したかと思えば今度は悪あがきかよ。まあいい、負け犬はなにをしても無駄だと念押ししてやるか」


 そう言うと男は振り向き整列している部下を見る。


 そこには武装したいくつもの男たちが並んでいた。中には女性もいる。全員がヘルメットを被り銃器を肩からぶら下げている。


 雰囲気は張り詰め使命感に燃えている。その姿勢は彼らが訓練を経てここに立っているのが分かる。全員が手練れの兵士たち。


 そんな彼らの前に立ち仮面の男は自然体だ。リラックスしていると言える。だがそれこそが彼が歴戦の戦士であり多くの戦場を渡り歩いてきたことの証だ。


「今回の目的と作戦内容はすでに知ってるな? よし、それじゃいこうじゃねえか」


 この中で、誰よりも強大な存在感を放っている。


「これが最後の次元。徹底的にいこうじゃねえか」


 男と部下は白い渦へと入っていった。


*


 アーク運動会会場、そのトラックに選手たちが並んでいく。真剣な目つきで前を見つめ意識を集中していく。開始の合図を静かに待つ。


「始め!」


 その一言で一斉に駆け出した!


 信也も走る。だがあまり身体能力が高くない信也は抜かれてしまった。


「信也君なにしてるの早く走って!」

「これで全力なんだよ!」


 全員最初の障害物に向かっていく。


 最初の障害物は網潜りだ。いくつもの網が地面に置かれこれを下から通っていかなくてはならない。通常なら網を持ち上げて通っていくのだがこれはアーク大運動会。普通では終わらない。


「おーっと! 早速アークのお披露目だあ!」


 一番最初に網にたどり着いた男子生徒、それは生徒会を襲った分身使いだった。何人もの自分が協力して網を持ち上げその中を本人が通っていく。その様に観客は大賑わいだ。


「くそ、やるな」


 彼が注目を集める中他の者たちも各々のアークを使って突破していく。


 その中に四天王真田が入る。彼女のアークはブラック・スワン。足を大幅に強化するランクD。そのアークを遺憾なく発揮する。


「今度は真田選手、すごい足技だ!」


 深優は網を蹴り上げる。頭上を軽々浮かび上がる網はまるでティッシュのよう。網は落下していくがその隙に一瞬で駆け抜けてしまった。障害になっていない。


 女子も負けていない。真田の足技に観客も大興奮だ。


「まずいな」


 先を越されてしまった。こうしてはいられない。信也もようやく網にたどり着きすぐにアークを発動する。


 信也がランクAなのはすでに周知のこと。彼が異能を発揮する。それを司会が実況し観客は盛り上がる。


 期待の声と眼差しに照らされて信也のランクAがお披露目だ。


「俺はランクAアーク、並行世界・自己融合(パラレル・フュージョン)発動! こい、エレメント・ロード!」


 大きな黒い帽子と同じく黒のローブに身を包み信也は並行世界の自分に変身する。


「信也選手、これはすごい! 一瞬で恰好が変わったぞ!」

『おおおおお!』


 分かりやすい異能に反応も熱を帯びる。すごい注目度だ。そんな中信也は手を伸ばす。


「エアー!」


 突如巻き起こる風に網は持ち上がり信也は通り抜けていく。


「信也選手、並行世界にいる魔法使いの自分をコピーして見事に突破!」

『うおおおお!』


 まさにアーク大運動会。他の選手たちも各々のアークで障害を突破していく。逆にアークが合わない人たちは網に苦労して進んでいく。それはまさにこの大会の縮図のよう。強い異能を持つ者は優位に進めれる。それはある意味当然、仕方がないことだ。観客だって異能を見に来ている。


 しかし、だがしかし。本物のスターはそんな予想を覆す。まるで重力のように自分に吸いつける。


「強力なアークを持っている人たちはさすがですね! ん? あれは誰でしょう? 自力ですがすごい勢いで進んでいる人がいます!」


 本当のアイドルを知るのだ。


 実況に信也は振り返る。


 それはある意味異様、他の選手たちが苦労して網を掻い潜っている中一人だけ気合と勢いのままに猛進している。


 その者こそ、ここにきて説明不要。


「姫宮選手だー! 姫宮選手怒涛の勢いで網を通っていきます! これはこれですごい! 他の選手を追い抜いていくう!」

「うおおおおお!」


 アイドルとして鍛え抜かれた体と心が野獣のごとき勢いで障害を突破する!



「マジかよ」

 その怒涛の勢いで姫宮は網を潜り抜け突破していた。


 すごい。この異能大会にあって生身の体で注目されるなど逆に異様。しかしだからこそ姫宮らしい。


 信也と姫宮も無事最初の障害を突破し次の障害へと進む。先へと進んでいくと階段を上っていき頂上に着く。その向かい側にも同じような台があるがしかし遠い。走り幅跳びでも超えられるか超えれないかの距離であり高さも数メートルあるため落ちたらただでは済まない。


「さあ選手たち、これをどう突破する!?」


 身体能力が高ければなんとかいけるかもしれないがもし失敗すれば大けがだ。これには先行していた分身使いも立往生している。


「ふん!」


 そこで一人の女子が跳び出した。それはもちろん、


「真田選手大ジャンプ! 走り幅跳び世界記録を大いに抜き去り、なんと向かいの台を超えて着地したああああ!」


 ブラック・スワンによる強靭な足をもって跳んだ真田はなんと向かいの台すら飛び越え直接地面に着地していた。人間離れしたジャンプ力にみな驚いている。


「エアー!」


 だが信也も負けていない。風で自分を持ち上げ向かい側に移動する。これくらいはエレメント・ロード、引いてはパラレル・フュージョンを持っている信也にとっては楽勝だ。


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