俺たちが先導する!
ドッペルシャドーから開放されたことで動けるようになり信也は姫宮をキャッチする。華麗なコンビネーションだ、これも仲間の力!
「いくぞ姫宮!」
「オーケー!」
信也はキャッチした姫宮を投げ飛ばした。
「くらえ! ファンキャッチアンドルホールド!」
そう言って姫宮は奏音に抱きつき頭をなでなでしている。
「小さくて可愛いなぁ〜!」
「こらー! なにしてんのよ新入生、先輩だぞ放せぇ!」
奏音は必死に抵抗しているが小柄な彼女ではべったりとくっついている姫宮は引き離せない。こうなってはドッペルシャドーも役立たずだ、相手の身動きを止められるアークだがこの状態で止めても意味がない。
これで奏音は封じた。
「頼んだぞ姫宮!」
「逃がさないんだからねえ〜!」
「怖いんだけどこいつぅう!」
奏音は姫宮に任せ信也は廊下を走り出す。これで行く手を阻むものはなくなった。
「させるか!」
だが瑠衣が正面に現れる。どうあっても行かせないつもりだ。
「あんたもしつこいな!」
「問答無用!」
瑠衣はスペース・ジャンプで近づくと肩に触れてきた。
直後、世界が変わった。廊下に立っていたはずの足は浮遊感に包まれ景色はオレンジ色の空に変わっている。視界の端にはさっきまで自分がいた校舎が見える。
「え!?」
信也は今、校舎の外、その空中にいた。
「では」
そう言うと瑠衣は信也から手を放し消えてしまう。
「くそ! 四階だぞ!」
スペース・ジャンプによって窓の外に放り出されたのだ。体は落下していき地面に激突してしまう。
「ガンスリンガー!」
すぐにアークを発動、信也はワイヤーガンを取り出し校舎に向け撃ち出す。銃口からはワイヤーが打ち出され壁に打ち込まれ、モーターがワイヤーを引き込むことで信也は上昇していく。そのままの勢いで両足で窓ガラスを破り同じ場所に帰還した。
「おい、外に捨てるのは反則だろ」
「戻ってくるか」
普通なら今のでお終いだった。いきなり空間転移に巻き込まれ戻って来れない。戻って来れたのはパラレル・フュージョンの汎用性あってこそだ。
だが外に放り出すという普通なら帰還困難な戦法を行なってくるスペース・ジャンプの応用性も凄まじい。外に放り出すだけの能力じゃない、それすらも彼女にとっては一部に過ぎないのだ。
ランクA同士の戦い。次元を操る者が繰り広げる、まさに高次元の戦いだ。
ならばこそ、両者の決着は仲間の差で付くのは必然だったのかもしれない。
「彼の邪魔はさせないぞ!」
「そうよ、私たちを先に退かしてみるのね!」
信也の前にみんなが列を作る。信也に触ろうにもこれでは彼らが邪魔で触れない。
「俺たちが先導する!」
「君は隙を見て走って!」
「ありがとう!」
みんなが壁となり一緒に走り出す。瑠衣は苦い表情を浮かべるが見ていても始まらない。
スペース・ジャンプを発動する。それで正面に立つ男子生徒を捕まえると姿を消す。彼と一緒に外に出ると入り口に置き再び戻ってくる。
そうして一人、また一人と壁がいなくなっていく。その間信也たちは走った。階段を上り五階に辿り着き残すは生徒会の扉だけ。ここを通ればゴールだ。
廊下がやけに長く感じる。最初はたくさんいた仲間もほとんどが外に出されてしまった。
残りは一人。だが生徒会室はすぐそこだ。
「行かせない!」
それを阻むため瑠衣が現れる。しかも信也の真横に現れ手を伸ばしてきた。誰もいない、触られる。
「うおお!」
しかし彼女を察知した正面の男子が飛びつき瑠衣に抱きついた。押し倒す形で廊下に横になる。
「運動部の反射神経を舐めるな!」
アークではなく普段から練習してきた成果で彼女を捕まえる。
「早く!」
「助かった!」
彼のファインプレーによって生徒会室の扉は目と鼻の先だ。警護に二人の男子生徒が立っているがソードマスターで蹴散らす。
「そこをどけー!」
峰打ちで二人を倒しついに信也は生徒会室の扉を開けた。
ここに至るまで多くの人に支えられてきた。踏破するまでの道のりは険しく一人では決して辿り着けなかった。
これは仲間の強さ、結束の力だ。




