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闘神の子Ⅱ  作者: ありり
番外編
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番外編 シャイン12歳④

シャイン 感情の神


シャインは感情の神となった。


父が消えた神殿の中で、しばらく動くことができなかった。


胸の奥には、相変わらず渦巻いている。


怒り。

悲しみ。

憎しみ。


それらは以前よりもはるかに強く、深くなっていた。


だが――


時折、違う感情が浮かぶことがあった。


小さな、温かな記憶。


幼い頃。


母が微笑んでいた記憶。


森で風に揺れる木々。


本を読んでいた静かな時間。


そのたびに、胸の奥にわずかな揺らぎが生まれる。


エルフの集落。


自分たちを迫害した者たち。


復讐すればいい。


力はもうある。


その気になれば、すべて壊せる。


だが――


その決断ができなかった。


胸の奥に残った小さな感情。


父が最後に残したもの。


どうやらそれが影響しているらしい。


シャインは静かに空を見上げた。


「……いずれ」


小さく呟く。


「全部壊せばいい」


今すぐでなくてもいい。


世界など、いつでも壊せる。


そう思うことにした。



それからほどなくして、


シャインは天上界へ呼ばれた。


神々が集う場所。


広大な空に浮かぶ神殿。


そこには多くの神がいた。


創造の神。

炎の神。

風の神。

雷の神。

土の神。


それぞれが強い神気を放っている。


シャインが現れると、神々の視線が一斉に集まった。


創造の神は静かにシャインを見ていた。


その目には警戒があった。


だが他の神々の反応は違った。


「半神か」


誰かが言った。


「そんな者が神になるとは」


「感情の神も堕ちたものだ」


冷たい笑いが漏れる。


中にはあからさまに見下す神もいた。


「半神に何ができる」


その言葉を聞いた瞬間、


シャインの胸の奥で感情が揺れる。


――ここでもか。


エルフの集落でも。


町でも。


そして神の世界でも。


半神。


その言葉は、どこへ行っても同じ意味を持っていた。


シャインは静かに神々を見渡した。


そして、感情を見る。


怒り。


嘲笑。


恐れ。


中には、憎しみさえあった。


半神への嫌悪。


その感情は、はっきりと読み取れた。


シャインは思う。


――くだらない。


こんな存在たちが神なのか。


その気になれば、


今ここで壊すこともできる。


この神々を。


この天上界を。


シャインの口元に、わずかな笑みが浮かぶ。


――いずれ。


この神々も壊してやる。


だが、その時だった。


一人の神が目に入る。


その神を見た瞬間、


シャインの意識が止まった。


感情が――読めない。


そこに立っていたのは、


闘神。


ホープの父。


先代の闘神だった。


黒い鎧のような神気。


鋭い目。


だがその内側が見えない。


怒りも。


憎しみも。


恐れも。


何も感じ取れない。


まるで――


感情そのものが存在しないかのようだった。


シャインはわずかに眉をひそめる。


「……読めない」


神々の感情はすべて見える。


だが、この神だけは違う。


まるで壁のようだった。


闘神はシャインを一度だけ見た。


その視線には、敵意も軽蔑もない。


ただ静かな視線。


それだけだった。


そして再び前を向く。


まるでシャインなど気にしていないかのように。


シャインの胸の奥で、わずかな興味が生まれる。


――なんだ、この神は。


闘いのみに生きる神。


感情に左右されない存在。


それはシャインにとって、初めて見る神だった。


シャインは静かに思う。


――少し様子を見よう。


今はまだ動く必要はない。


この闘神という存在を、


もう少し知りたい。


シャインは静かに闘神を見つめていた。

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