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帰りの車の中

 帰りの車の中、運転してくれている父さんがずっとにやにや笑顔をしてるんだけど…申し訳ないけど正直気持ち悪いんだよね…


「…ねぇ、運転してもらっててこんな事言うのあれなんだけどさ。なんでそんなずっとニマニマしてるの?気持ち悪いよ?」


「気持ち悪いってそんな…父さんは空があんなに『見るだけだから!』って言ってた割には即決でバイクを買ったなって思ってちょっと嬉しくてだな…」


 なるほど、確かに家を出る前にも僕はそう言ってた覚えがある…でも嬉しかったにしては変わらず気持ち悪いよ父さん。


 でもべつにいいじゃんかそう言う時もあるんだし、しかも好きな物で一目惚れをして他の人(他の人狼種)に取られたくないって思っちゃったんだから。


 なんて心の中で反論しながらも実際は何も言い返せずにぐうの音もない顔を作っちゃう。


 そんな自分自身や、そんな事を言う父さんにもふてくされた僕は自分のモフフサの抜け毛を少しばかり取って丸め込んで助手席のドア側へくっつけて仕返ししてやった。


 大丈夫、父さんはちゃんと運転に集中して目線を前に向けてるから帰り着いても気づかないよ。多分ね。


「それに手続きしてる最中は父さん呼ばれずにずっとあそこで待ってたしな〜」


「う…それはごめんって。スムーズに手続きも話も進んだから呼びにいく暇がなくて…」


 父さんめ確実に人に(コボルトに)罪悪感を植え付けるような言い方してくるな、卑怯な!


「って言うかそれは父さんも馬鹿正直にあそこでずっと待ってなくてカウンターまで来たら良かったんじゃあ?」」


 僕がなけなしのなんでかな?って思った事を言うと急にもごもごと言い返してくる。


「それは…父さんもあの辺りのアメリカン系のバイクを見てたかったから…」


「僕のこと言えないじゃん!」


 結局自分の見たい物見たさだったんだ、そう思うとツッコミを混ぜた反論を口に出ちゃったのに父さんときたら待ってましたってばかりに乗ってきて笑い倒してくる。


「確かに!だっはっはっ!」


 はぁ…さっきまで僕が押されてたけど父さんの掌返しのような浮かれっぷりにはそれを忘れて呆れちゃうよ。


「それより空。ヘルメットは買ってあるんだろう?」


「和也にどれがいいか聞きながらもお買ったよ?ついでにグローブもその時に買ってあるから後は納車だけでバイクに乗れるよ!」


「せっかくだから父さんがヘルメットをもう一つプレゼントで買ってあげるよ」


 唐突に父さんからのサプライズプレゼント宣言に父さんの笑顔が気持ち悪かった事が一瞬で吹き飛んでちゃう。


「え!いいの!?でもそんなヘルメットを2個ってそんなわけで使えるかな?」


「いいよ、いいよ。その時の気分で使い分けたらいいよ、父さんも車に乗る時はその時の気分で革靴を履き分けてるから」


「なるほど。じゃあお言葉に甘えて買ってもらお!」


 バイクを買った日に気持ち悪嬉しいサプライズに大興奮だった僕は助手席のドア側に付けた自分のモフフサの毛玉をそっと回収しておいた。


               continue…

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