ひとりぼっち
「光世ねぇさんなんであんたがこんなところに?」
「知らないね、私は強くなるため、悪を滅ぼすため、旅をしている。あんたは?」
「…見捨てられた」
「チッ、貴様みたいなのが月山一族なのがこの一族唯一の恥だ」
「あっそ、そんなんあんたに決められたくない…。自分は腐っても月山一族だ」
「そうか、なら鍛え直すまでだ」
光世は背中の矢筒から矢を三本取り出し丁寧に1本ずつ弓に装着していった。
政宗も愛刀の薙刀を取り出し構え始めた。
「「対戦よろしくお願いします」」
「いくぞ…トライアルアロー!!」
シュシュシュパン!
「矢を一気に5連発…いきなり大技っスか」
「貴様のその喋り方気に食わないんだよ」
「あっそ」
シュシュパン!
降り注ぐ矢を一つ一つ切り落とす。
シュパッ!シュシュ!!
「矢を切ったところで矢は無限に復活する。
お前の体力がどれだけ持つのかの消耗戦、このままだとお前の負だッ」
「ッ!わかってんだよ…」
「声が小さい!!声の小さは己の小ささだ!!常に鍛えてゆかぬと肺が弱るぞ!」
「自分はそんな脳筋にはなりたくないッスね!!」
足を踏み込み、距離を縮める。
ガキィィンッ!!
「ハッ…なんとでも言うが良い…」
「弦で一撃を防ぐとは…さすが、でもほら、声も、小さくなってる、そんな、大声、出してるからッスよ」
光世は器用に弓を振るう。
「そういうお前もだぞ、声が途切れ途切れじゃないか」
「そんな事ない、ッス。さぁ、早く…戦いましょう」
「あぁ、ここからが本番だ。」
「?!」
「隙あり!!」
政宗の背後には広範囲にも及ぶ無数の矢が飛んできていた
ザシュ!
「ウッ…」
バタンッ
という音が静かな平原に響いた
「落ちこぼれの愚か者が、お前みたいなのが私に勝てるはずがない恥を知れ、そして鍛錬し強くなれ。強くなったら認めてやる
お前はまだ月山一族どころか、永酊寺家の片隅にも置けない」
「分かり…ました、自分、もっと強くなって、月山一族として…」
「喋るな…傷口から出血するぞ、」
「はい」
「ほら、包帯だ、血が止まるまでそこで大人しくしていろ、私が見守っといてやる」
「はい」
(いつも自分は、誰かに何かしてもらってるな。
小さい頃から何をするにも失敗ばかりで、両親も過保護で、末っ子だから兄上達もずっと見守ってくれた。
でも何もさせてくれなかった、
危ないから、何かあったら心配だから、
月山一族は代々自分で武器を選び鍛錬をする
それさえさせてくれなかった。
中学に上がると今度は誰も何もしなくなった
もう大人だから、一人でやっていけるから
中学生になるまで何も一人でやったことの無い自分は唐突な独り立ちをさせられた
自分は見捨てられたと思った。
今まで甘やかしてきた母上も父上も、いつも遊んでくれた兄上達にも、突然背を向けられた
『1人でやれ』『自分で考えろ』
そんな言葉が自分の心を削った。
中学に上がってからは勉強に集中していた。
それも無駄だった、小学校の頃は授業内容が分からなくても兄上達が教えてくれた
でも、中学からは誰も教えてくれない
テストの順位は下から3番目
勉強も人付き合いもダメ
自分は学校でも除け者扱いだった
人にくっつくことしか出来ないから
自分ひとりじゃ何も出来ないから
中二の頃、初めて人を殴った
そこから自分の人生は全て下り坂、
スクールカースト最下位となった
その時から日頃の鬱憤は全て暴力で解決していた
一人でなにもできなかった分、自分一人でできることはこれくらいだった
ニュースにも取り上げられた
家族からも軽蔑された
自分はその時から月山一族じゃなくなった
でも、1人だけ、昔から変わらず接してくれる人がいた
月山光世、あの人だけは変わらず自分を見てくれていた
昔よりかは態度がきつくなったけど、それでもあの人は厳しく、優しく自分を評価してくれた。
中三に上がってからは色んな所で喧嘩をした、森の中、河川敷、人の家の瓦屋根なんかも使った。
自分の生きていく道を見つけてからは世界が明るかった
毎日喧嘩の日々、そんなことを繰り返すうちに、学校は停学処分、家から1歩も出して貰えなかった。
それからは武器集めにハマった。
かっこいい武器を見ていると心が踊る、
いずれか、その大事な武器さえも使いたくなった。
母上を殺そうとした、あと一歩だった。
メリケンサックでボコボコに殴ったあと、薙刀で串刺しにしようとした。
刺せなかった、神様が現れたから
目の前に神々しく光る怪しい目つきの神様。
神様はデスゲームを始めると言った
後の記憶はほとんどない
目が覚めた時には不思議な施設の中にいた。
辺りを見渡して、自分はそこにいた銀髪で片目の隠れた高身長の男に話しかけた。
名前は思い出せない
そして自分は政府の人間になった、ボスからは悪を滅ぼせ。とだけ言われた。
自分はそれから人殺し、性犯罪者、密輸入国者など様々な悪人を殺した。
でも結局は捨てられた、用済みだったのだろう。
自分はまた1人になった
そんな時に蒼空さん達が自分に声をかけてくれた。
『君が必要』そんなたった一言で自分は蒼空さん達について行くことになった。自分でもチョロいと思った、でもここしか無かった、自分を変えられる最後のチャンスは……)
「はっ!?」
「起きたか、体調は?」
「平気です」
「そうか、私はこれから修行に出る
後、お前に渡すものがある」
「渡すもの?」
「あぁ、お前が小4ぐらいの時に親に貰った眼帯だ、家の掃除をしていたら出てきた
ほれ、受け取れ」
光世は政宗に眼帯を投げる
「ちょ…部屋に入ったんスか?」
「あぁ、色々見つかったぞ。
模造刀やら、銃やら、変な黒いノートなんかも…」
「も、もうやめてください光世ねぇさん!」
「なんだ?年頃の男特有のやつじゃないか、
見てて面白かったぞ、小6ぐらいの時は確か…」
「お互い修行に励みましょうね光世ねぇさん!!
それでは!」
「まだ話は途中だと言うのにあいつは…」
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「光世ねぇさん、いらない過去まで掘り返して…本当に…眼帯は、まぁ、ありがたいけど」
「キュゥイ!!」
「政宗くーん、その眼帯って、さっきの人から?」
「はいっス、どうやら家に忘れてたみたいで」
「そっか、あの人家族なんだ、すっごくかっこよかったね!」
「ま、まぁ、ところで啓斗さんは?」
「あ!確かに、蒼空くんの所にでも戻ってるんじゃない?」
「そうかもッスね、帰りましょうか」
「はーい」
━━━━━40分後━━━━━━
「あ、皆さん申し訳ありません、少し倒れていたみたいで…啓斗さんは?」
「あれ?啓斗居ないね」
「まさか、迷子?」
「探しますか、僕はドローンを飛ばして周囲を観察してきます」
ブォンブォン
「自分は啓斗さんの向かった方へ行ってきます」
「私は待機ー」
「政宗さんと一緒に行動してください」
「はーい」
━━━━━20分後━━━━━
「見つからない一体どこにいるんだ?
ドローンの索敵範囲外には行けないし
体力も完全に戻ったとは言いきれない、
下手に動くのはやめておいた方がいいか」
「うぉわぁぁぁああぁぁぁあああぁぁ!!!!」
「政宗さん?!」
「きぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁ!!!!!!」
「冬華さんまで?!」
「キュイ!!」
「どうしようどうしようどうしよう!
見つけなきゃ、見つけなきゃいけないのに足が…動かないどうして、触っても感覚が無い、どうしてだ、
は?足が…無い?」
突然、蒼空の足が無くなっていた
「気づいたみたいだぁーネ!」
2週間開けてしまいすいません
少し重要な用事が重なってしまってなかなか書く暇が無くってこんなにも期間を開けてしまいました
来週からはおそらく週一投稿となります




