聖獣との闘い
マリーを下ろすと、トムの頭からリルイが出てくる。
「マリーちゃん大丈夫?」
リルイが穴の開いたマリーの腹に手を当てると光が傷を包んで治していく。
「リルイちゃんありがとう」
「言いたいことはいろいろあるが……マリーあれはなんだ?」
トムは、神々しいまでに白い人型の何かを観察している。マリーには背を向けているためその表情はわからない。
「兄さん……すいません。あれは聖獣です」
端的だが、兄ならこれで状況を察せられると思った説明だ。その証拠に、トムは小さくうなずいた。刀を抜き、敵に向ける。
「こい【夕闇】」
白い刀が黒く染まっていく。先に動いたのは、聖獣化した副理事長のほうだった。先ほどマリーの目の前に現れたのと同じように、突然トムの目の前に出現する。突き出された槍を刀身で受け流し、体を敵の懐に滑り込ませる。刀をそのまま首元まで滑り込ませた。
「クッ」
短い呼吸とともに姿を消し、今度はトムとは離れたところに姿を現した。
「しゃべれたのかお前」
「さすがトム・ヘイカーだ。だがお前もこの速さについてこれていないようだな」
副理事長の声が耳ではなく、頭の中に響く。
「むかつくしゃべり方だな。で?速いだけか?ならお前、勝ち目ないぞ」
不愉快そうに頭を掻いて、副理事長を指さす。すると首の一部が浅く切れた。副理事長が驚きながら首に手をやる。そこからは血の代わりに青い液体がわずかに流れていた。
「フン、こんな薄い傷程度で勝ったつもりか」
「さっさと全力で来い、お前の力なんて、すべてねじ伏せてやるから」
「いいだろう食らうがいい!」
そういって槍をトムに向ける。副理事長の周りに数十の魔法陣が展開され、そこから十字架の形をした杭がトムに向かって飛び出す。トムは杭の射出と同時に走り出す。わずかに見えた弾幕の隙に体を滑り込ませ、杭をはじきながら前へと進む。すると、常に視界にとらえていた副理事長の姿が突然消える。トムの背後に現れた副理事長は、そのまま槍を突き下ろす。トムは身をひねって避ける。しかし、振り返った先に副理事長がいない。いつの間に遠くにいた副理事長はそこから、両脇に魔法陣を展開する。そこから、まばゆい光が飛び出した。レーザーのようなその魔法はまっすぐトムを飲み込んだ。
「ははは!これで終わり」
「にいさん!」
「トム!」
光に飲まれたトムを見て高笑いする副理事長。光が晴れるとそこには、トムが無傷で立っている。
「なに!」
動揺する副理事長がもう一度魔法陣を展開しようとしたとき、トムの姿が消えた。次の瞬間に自分の胸から刀が生えていた。
「ごふっ」
口から青い液体吐く。
振り向くと誰もいない。自分を貫いていた刀もなくなっていた。
「何をした!」
トムを見つけられない副理事長は空間に向かって吠える。
「わからないか?」
トムの声がどこからともなく聞こえた
「フ……フフアハハハハハだが問題はない!」
そういって、トムを指さす。
「お前は呪われた」
そのセリフと同時に、トムが現れた。膝をつき、苦しそうに息をする。首筋にはツタのような刺青が
現れ、青く光っていた。
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