第一章 星々はまだ見ていない 第六話 異能力と系統とは
翌日
現在の時刻は、午前8時30分
陰陽和魔
「規律!」
「授業を始める。礼」
楓牙と時以外は、お辞儀をして席につく。
和魔の顔には、青筋が立っており今にも怒り出しそうだった。
陰陽和魔
「ハァ…まぁいい。始める」
「お前たちは、異能力の系統を知っているか?」
一ノ瀬才
「はい、異能力の《《系統》》は、全部で7つあるとされています」
「才能型、自然型、現代型、錬金術型、時空型、記録型、不可思議型から構築されています》」
陰陽和魔
「素晴らしい、正解だ」
「この7つの系統は、世界を構築する基礎とされている」
楓牙以外、それをノートに書き記す。
だが、時だけは空欄が少し多めだった。
和魔先生の視線が、一番後ろの席にいる虚無に視線を移す。
陰陽和魔
「おい、絵を描いている暇があるなら、さっさと黒板に書いてあることをノートに書け」
「虚無、だから、貴様は落ちこぼれなのだ」
神境虚無
「申し訳ございません」
虚無は、下を向いて謝る。
皆は、視線を虚無に送る。
虚無は、その視線が鋭く見下し、軽蔑の目だと思い込んでおり、顔を前を向く事が出来なかった。
本当は、心配の目をしていたのにだ。
和魔先生は、授業を続ける。
陰陽和魔
「んん、では、続きを」
「才能型や現代型は、異能力者の全人口の6割を占めるほど多い」
「この学校に所属する生徒の4割が、この才能型や現代型だ」
新島美紗都
「意外とおりますのね」
陰陽和魔
「まぁ、一年は19人しかいないからな。二年に至っては6人しかいない」
鍛治万象
「すっくな!二年!?」
「二年、6人しかいねぇの!?」
万象は、大きな声で過剰とまではいかないが、それくらいの反応をしていた。
楓牙は、そんなのを気にせずに、大きなあくびをする。
陰陽和魔
「才能型は名称通り、人間が持つ才能が1つだけ特異的に“ 能力 ”として具現化した能力」
「それが、才能型だ。これに当てはまるのはこの教室には、才くんと虚無だけだ」
和魔先生が、「虚無」と言い放つ時、その言葉は怒りに近い様な低い声だった。
その声の変化に、ビクッと体を震わせてしまう…虚無
授業は、続く。
陰陽和魔
「次に、説明するのは自然型だ」
「これも名称通り、自然界に存在するもの…」
「火、水、風、土、雷と自然界に存在するものを操る事ができる」
「該当者は、楓牙くんだ」
五十嵐楓牙
「は~い、は~い」
「てか、先生ぇー俺のこと、くん呼びで呼びのやめてくれません?」
「気持ち悪いんでぇ~」
陰陽和魔
「静かにしろ」
教室に、軽い風が吹く。
陰陽和魔
「楓牙…」
五十嵐楓牙
「はい、はい、止めます~止めます~」
教室に吹く風が止む。
先生を除く教室にいる皆の引き出しに何かが入った。
それに、気づいたのは時と録、楓牙の3人だけだった。
陰陽和魔
「ハァ…では、次は、現代型について説明する」
「現代型とは、能力の内容が成長したり変化したり、その時代に合わせて変化する能力だ」
「これは、わかりづらいから、例を挙げるとすれば」
「幼少期はタイピングが音速のスピードで打ててたのが、大人になったら仕事を1秒で終わらす能力に変化などだ」
「該当者は、美紗都くんだ」
新島美紗都
「えぇ、わたくしももう変化しておりますの」
「ですが、先生。現代型の変化は基本的に何回起こりますの?」
陰陽和魔
「いい質問だ。少なくとも一回は、必ず起こる」
「多くて7回までだ。それ以上変化する事はない」
「だが、これは、噂の範囲だが裏社会では、異能力者を実験体としているらしい」
「その時に、現代型に8回目の変化を起こす実験を施した実験体が亡くなった。とされる事が報告されている」
教室が、静まりかえる。
陰陽和魔
「んん、これは、噂の範疇だ。真実とは限らない」
「この様な噂の話しをしたのは、お前たちに“ 異能力 ”と言う力の危険性を教える為だ」
五十嵐楓牙
「だからって、そんなこぇ話しすんなっての」
陰陽和魔
「その点は、すまない」
「“ 裏社会 ”と言う“ 表社会 ”とは現実離れした様な場所がある事を忘れるな」
その言葉には、重みのある声で言い放つ。
キーンコーンカーンコーン
授業を終わらすチャイムがなる。
それを聞いた和魔先生は、目の色を変える。
陰陽和魔
「では、一限目はこれにて終わる。規律!」
「礼」
机の上に足を置いて、口の上にシャーペンを置いている楓牙と机の上にうつ伏せになって寝ている時以外は、立ち上がり、礼をする。
和魔先生は、そのまま教室を後にする。
虚無も次の授業の準備を軽くすると、足早に教室を後にする。
才と録には、見えていた。
虚無の目元には、大粒の“ 涙 ”がある事に
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一方、虚無は…
女子トイレの一番端のトイレに篭っていた。
目からは、大粒の涙を流しながら、声を殺して
神境虚無
(どうして、私こんな…)
「耐えなきゃ、代償は重いな…」
震えた声で、そう言う。
トイレに、誰かが入って来る。
虚無は、大急ぎで涙を拭って、口元を手で隠して息を殺す。
虚無が入っている個室の前から、聞き慣れた声が聞こえる。
ホワホワとした中性的な声
時の声だった。
蓬莱時
「もうすぐ、先生来る」
「早く来ないと、遅刻って怒られる」
未だに、眠そうな声だった。
また、足音が聞こえる。その足音は、離れて行く。
虚無は、ゆっくりと個室の扉を開いて、トイレを後にする。




