第一章 星々はまだ見ていない 第四話 才能の子供たち
ボフッ
鍛治万象
「ハァ~つっかれたぁ~!」
そこにいたのは、オールバックの赤髪、燃える様な赤い瞳を持つ男子生徒…
鍛治 万象だ。
此処は、万象の部屋
正確には、都立六星能力専門高等学校から家が遠い生徒の為にある寮
通称、六能寮だ。
部屋の大きさは、10畳ほどある。
だが、そこに、2段ベッドが添えなつけられた勉強机
少し大きめのタンスとソファー
小さめの冷蔵庫
最低限の自室の様な部屋と言う印象が、持たれる。
だが、此処は万象の部屋だ。
少し汚かった。
洗濯籠に何枚もある服や大量のティッシュが入ったゴミ箱
少しだけ、掃除が行き届いていなかった。
そんなものを気にせずに、万象は、ソファーへとだいぶする。
鍛治万象
「なんか、これからおっもしれ~生活が送れそうだなぁ~」
「さて、今日は勉強しなくていい日だぁ~やったぜ!」
「今は、午後19時か…風呂に行って寝るか。風邪引いたら洒落になんねぇし」
そう言って、着替えとバスタオルを持って風呂場へと向かった。
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時は変わり、午後20時
「スゥースゥー」
と寝息が聞こえる。
ベッドの方へ視線を移す。
其処には、濃い緑からエメラルドグリーンの髪色の長めのウルフヘアーの少女が既に眠っていた。
彼女の名前は、蓬莱 時
彼女は、よく寝る“ 未来視の出来る ”異能力者だ。
かなり深く眠りについていた。
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一方、こちらは…
薄緑のボサボサショートヘアーの髪、黄色から白の瞳と青の瞳のオッドアイ、瞳孔がやたらと細い。
そして、その瞳には目に光りがなかった。
彼の名前は、五十嵐 楓牙
彼は、風を操る異能力者だ。
そして、此処は、彼の家の彼の自室
部屋には、大量の“ 能力専門誌 ”や“ 学問系 ”の本が、本棚や勉強机の上に並べられていた。
楓牙は、空中に浮きながら寝っ転がり、何かを考えていた。
五十嵐 楓牙
「あの目、特にあの右目」
「俺と似てたな。幼少期の俺と…」
「それに、先生が言ってたあの言葉…」
脳裏にあの言葉が浮かび上がる。
「あんな無能、入学させなければよかったのに」
楓牙が、無意識に手を強く握る。
それがまるで、幼少期の自身と重なる部分があったから…
楓牙は、黙る。真面目な顔になる。
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カリカリ
ノートに、鉛筆が当てられる。スラスラと、文字がノートに書かれる。
隣には、問題の書かれた問題集と参考書の本だ。
パッと見るだけで、脳内がバグる様な英語が羅列されていた。
真剣に問題を解く男子生徒がいた。
藍色の整ったショートヘアーの髪。綺麗な緑の瞳。メガネを付けた明らかに真面目そうな人
彼の名前は、一ノ瀬 才
彼は、英語の文章を日本語に和訳しながら書いていた。
見ているだけで、頭痛が起こりそうな作業をただ黙々としていた。
ノートには、丁寧に図で分かりやすく書かれてあった。
彼の脳には、既に高校生が学ぶ範囲のことの殆どが入っているレベルだ。
ずっと、寡黙に勉強しており、自分の目標を叶えようと努力をしていた。
一ノ瀬才
「……此処は、こう。活動電位か、難しいなぁ…」
「仕組みは、簡単そうだが…それがどうなるか分かりやすくしないと、忘れた時の対策もしなければ…」
「まずナトリウムイオンが流入して脱分極が起こる。その後、カリウムイオンが流出して再分極する……」
「なるほど……ふむ、じゃ、こんな感じにしたら伝わるのか?」
大きめの付箋に、仕組みを図として描く。
だが、その絵を見ても理解するのには少し時間が掛かりそうな単語も同時に書かれてあった。
一ノ瀬才
「……そう言えば、あの時、録さんが言っていた事は、真実でしたが…」
そう言って、脳裏にあの時の映像が浮かびあがろうとするが、扉の前から声が聞こえる。
母親だった。どうやら、夜ご飯の催促だった。
才は、思い出すのをやめ自室を後にする。
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バンッ!
???
「美紗都!腕の角度が5度違う!あと、5度腕を上げろ!」
新島美紗都
「はい!」
机が思いっきり叩かれる。怒鳴り声を上げた男性の目の前には、薄黄色のロングストレートの髪を、一つ結びにして優雅に白い衣装に身を包んで、バレエの練習をしている人がいた。
彼女の名前は、新島 美紗都
彼女は、日本で知らない人はいないと言われる老舗大企業、正徳の社長の愛娘だ。
今、彼女は、有名バレリーナを排出してきたと言うコーチから指導を受けていた。
そして、休憩時間となりペットボトルの水をティーカップに入れて飲む。
他の休憩中のバレリーナが声を掛ける。
バレリーナの仲間
「お疲れ様、今日は、バレエの日だけど、どうなの?」
新島美紗都
「えぇ、今日は既に4時間ほどバレエをしておりますわ」
「明日には、数学の塾へと参りまして…いえ、今日はこの後から23時まで、理科をメイトした塾がありましたわ」
バレリーナの仲間
「それ、大丈夫?」
新島美紗都
「わたくしが、正徳を継ぐ日が来ましたらその時の対策ですわ」
「これくらい、社長となる器を磨くのであれば問題ありますわ。それが、わたくしの使命ですわ」
バレリーナの仲間
「ふふ、貴女らしい」
コーチ
「おい!休憩は、其処までだ!さっさと、戻れ」
新島美紗都
「承知致しました」
そう言って、また、練習へと向かう。
練習場にあった時計の針は、午後20時26分を指さしていた。
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満月の月明かりが、六能寮のある一部屋の部屋に入り込む。
勉強机の上に、黒髪に真ん中と両側に白いメッシュの入った男子生徒が、うつ伏せになっていた。
彼の名前は、目黒 録
録が、顔を上げる。目元には、大粒の涙があった。
録は、立ち上がり、白に近い灰色の瞳に、時計の針の形をしていた瞳孔が、満月を見つめる。
その目には、正気が無かった。
目黒録
「あの目は、イジメを受けていた人の目…姉さん」
録の声が、震えており、月明かりの差し込む窓の前で膝から崩れ落ちて大粒の涙を流す。
両手で頭を抱える。呼吸が、徐々に荒くなる。
涙が止まらない。
録の目の前には、首吊りをした女子高校生のした死体
身体は、動かない。
ギギギ…
そんな音を立てて、首吊り用に使用した縄が千切れて、地面へと落ちる。
近くにあったダイニングテーブルに頭を打つける。
倒れた所の頭部から血が出る。
ゆっくり広がる。血の池…
顔は、笑顔だった。泣き腫らした乾いた笑みを見せて死んだ…姉
録の目の前には、こんな光景が広がっている様に錯覚していた。
涙が、止まらなかった。




