第二章 7つの命を巡る星座 第十二話 防衛
ある部屋
机の後ろの壁には、盾と模造品の剣が飾られていた。
机には、長い黒髪に、眼帯と紫色に輝く瞳
その眼光は鋭く、目の前にいた部下に緊張を与えてしまう。
部下が持って来た書類に軽く目を通す。
報告書には、「戦争」という文字が書かれてあった。
男は、報告書を読み進める。
部下
「どうでしょうか?黒様」
「黒様」と呼ばれた男が、顔を上げる。
『日本 防衛省 防衛大臣 “ 無神 黒 ”』
無神黒
「嗚呼、報告書は完璧だ」
「だが、やはり此方もそれ相応の準備をしなけばならない」
部下
「ハッ!では…」
無神黒
「嗚呼、首脳陣との会議を踏まえ、国防費を拡大する必要があるな」
「戦争が、97%の確率で怒るな」
報告書には、戦争発生確率30%と書かれてあったが黒は、それを大幅に上回る97%と言う数字を言い放つ。
部下は、首を傾げるが、すぐに驚きを見せる。
部下
「どう言う事ですか?」
「報告書には、戦争発生確率30%だと…」
無神黒
「嗚呼、そうだな」
「私は、もう一枚の報告書を貰っていたんだ」
部下
「もう一枚の報告書?」
無神黒
「嗚呼、政府は公表してないが、スパイ活動をしている優秀なスパイがいる」
「その者からの報告書だ」
部下
「そう言うことでしたか」
無神黒
「そろそろ、下がってくれ…」
「秘匿な会談をしなければならない」
部下
「承知致しました」
部下は、背後の扉から出ていく。
扉の向こう側で、部下が不適な笑を浮かべた。
「以降、この部下を見た者はいない」
数分後…
黒の執務室の扉がノックされる。
入って来たのは、濃い紫から紫の肩までの長さの髪に目元に黒い包帯を巻いた中性的な人だ。
黒の顔に、安堵のため息が出る。
無神黒
「遅かったな、兄さん」
『日本 防衛省 スパイ活動 “ 夢神 幻人 ”』
夢神幻人
「嗚呼、すまない」
「七王会議の会議が、意外にも長引いた」
______________
七柱 使徒 最族強神 幻人
______________
無神黒
「それは、非常に大変だったな」
「世界側からの“ 意向 ”を相手するのは、大変だな」
最族強神幻人
「お前も、日本の国防を考えつつ一般人を演じるのは大変だな」
無神黒
「私たちは、“ 不可思議型 ”に属する者の使徒だ」
「通常の異能力者を理解するのは、かなり骨がいる」
最族強神幻人
「確かにな、主人も「平凡」を望んでいる」
無神黒
「嗚呼、主人のために、あの子が少しでも生きられやすい世の中が作れるよう頑張るよ」
最族強神幻人
「嗚呼、頑張ってくれ」
そう言って、幻人は執務室を後にする。
黒は、椅子に腰掛け、天井を見上げる。
無神黒
「裏切り者の排除は、完了と…」
プルルル…
黒のスマホが鳴る。
画面を見れば、「無神白」となる者からの電話だった。
黒は、先ほどからの恐く鋭い目を、優しい笑に変え電話に出る。
______________
2人の人物がいる部屋で…
陰陽和魔
「何故、絵しか才能がない?」
「それに、君は、努力もできない。何故だ?」
神鏡虚無
「…………」
虚無は、下を向いて沈黙を貫く以外の事ができなかった。
虚無の内心は…
「怖い。まただ」
……慣れっことは言え、やはり、怒られると言う事自体には慣れない。
悲観的になるのも頷ける。
このような孤独には、慣れている。
何せ、…
神鏡虚無
「私は、死独だもん…」
陰陽和魔
「何か言ったか?」
神鏡虚無
「い、いえ…」
陰陽和魔
「とりあえず、貴様は、テストの成績も授業態度も終わっている」
「部活だけは、まともに受けているらしいが、それだけで…生きていけると思うな」
神鏡虚無
「はい…」
陰陽和魔
「では、私は、戻る」
「今日は、部活もないだろ?早く帰りたまえ…」
神鏡虚無
「はい、分かりました…」
そう言って、虚無は自分の席に戻ると横に掛けられていた鞄を持って、落ち込んだ様に教室を後にする。
左目の光も薄れていく。
「ハッハ」
「守らないと…」
虚無は、そう口走った。
靴箱へ向かう道中の階段で、そう言った。
目には、光など微塵もなかった。
まるで、絶望しきった人の目だ。
だが、楓牙の光のない目よりも深淵の奥底にいた者の目にも見えた。




