第二章 7つの命を巡る星座 第五話 街並みと…
ある少し大きめの丘にある神社
その丘から見える夕焼けが包み込む街並みが綺麗に写っていた。
虚無は、丘の上にある神社への階段道を歩いていれば、夕焼けの光が目に映る。
闇の様に真っ暗な右目にも、その光は、写っていたが、闇が光を吸収する様に夕焼けの光も右目には写っていなかった。
誰もいない静寂が包み込む神社
虚無は、一番上の段の階段まで行くと、その段に座り、カバンからスケッチブックと色鉛筆の入った鉛筆箱を取り出す。
虚無は、空白のスケッチブックに、その街並みを優しいタッチで書いていく。
街にあるビルや商店街を、寸分の狂いもなく再現していく。
夕焼けが、もう、沈む。
あと、数分もすれば完全に夜になり、あたりも真っ暗になるだろう。
そんな時間だ。
虚無は、手を止めていた。
夕焼けの光でうっすら見える絵を覗けば、完成している様だった。
神鏡虚無
「ハァ…先生に見せればこの絵は、ゴミなんだろうな…」
「そう言えば、美術部の顧問って誰なんだろう」
虚無は、スマホのライトをつける。
ゆっくりとした足取りで、階段を降りて行く。
転ばない様に、慎重に、慎重になりながら…
もう少しで、階段を降りられる…
そんな時だった。
神鏡虚無
「キャッ!」
虚無は、階段にあった少し大きめの石があり、それによって足を挫いてしまい、そのまま残り二、三段の階段をずり落ちてしまう。
ドサッ…
神鏡虚無
「イテテ…」
「……ッッ…足が…」
虚無は、左足を押さえている。
「グギッ!」と音が鳴りそうな勢いで足を挫いてしまい、立ちたいと思っても立ちことが出来なかった。
近くには、ライトがついたままのスマホが、道路の方に投げ出されていた。
虚無は、手を使い這いずるようにして、スマホに近づく。
必死に手を伸ばし、なんとか手元に持つことが出来る。
クラスメイトのグループメールに、何かを打とうとするが…
ちょうど、皆が、今日あった事を報告しあっていた。
そんな所に、割り込むのは…と思い、そのまま、スマホの画面を消して、地面を這いずり、散らばったカバンやスケッチブックをなんとか持って、家の塀を頼りに立ちあがろうとする。
足に力を入れれば、雷が直撃した様な、電気を足にぶつけた様なそんな痛みが、足首を襲う。
神鏡虚無
「うぅ…痛い…」
立ちあがろうとするが、その場にうずくまってしまう。
目には、涙があった。
遠くから、スマホのライトの光と思われる光が近付いて来る。
虚無は、このままじゃ迷惑になると思い、無理矢理にでも立ち上がり、邪魔にならない所に行こうとするが、足には激痛
立ちあがろうとするが、立ち上がれない、そんな立ち往生が続いてしまう。
光は、徐々に近付いて来る。
それも相まって、虚無は焦りが現れていた。
後ろから、聞き慣れた声が聞こえる。
??
「虚無さん」
虚無が、慌てて後ろを向こうとして、また足に雷が直撃した様なそんな痛みが走って、その場に蹲ってしまう。
目には、大粒の涙があった。
一ノ瀬才
「大丈夫ですか?虚無さん」
五十嵐楓牙
「大丈夫かよ?」
虚無の前には、才と楓牙がいた。
神鏡虚無
「なっ、なんで…」
五十嵐楓牙
「「なんで?」って…時が、此処で虚無が足を挫いて動けなくなってるから助けてあげてって言ったから」
「たまたま、コンビニ帰りで、そんなメールが来たから来たら才がいたんだ」
一ノ瀬才
「私は、この近くに住んでいますので」
「取り敢えず、私の家に向かいましょう。足はまだ痛む様ですし…」
神鏡虚無
「あっ、ありがとうございます…」
虚無が、お礼を言ったのちに、才におんぶして貰い、楓牙にはカバンやスマホなんかの荷物を持って貰った。
そして、才は、こう思った。
「軽い…軽すぎる…ご飯をちゃんと食べているのでしょうか?」
「にしては、軽すぎません?前、時さんをおぶる機会がありましたが…比にならないレベルで軽すぎる…」
内心こう思って、それが、顔に出ていた。
神鏡虚無
「だ、大丈夫ですか?その…重くないですか…?」
一ノ瀬才
「いえ、大丈夫です」
「私が、寧ろ気がかりなのは、食事をちゃんと食べています?」
五十嵐楓牙
「なんだよ。その言い方だと、紙みたい軽いとでも言いたいのか?」
一ノ瀬才
「まぁ、紙とまでいきませんが…」
「ものすごく…軽いです」
五十嵐楓牙
「ふ〜ん」
虚無の顔は、真っ赤になっており、恥ずかしがっていた。
五十嵐楓牙
「なんだ?虚無〜?恥ずかしがってんのか?」
一ノ瀬才
「あっ、申し訳ございません」
「体重に関わる事を話してしまって」
神鏡虚無
「いえ…」
虚無の内心は…
「か、軽いって言われちゃった…」
「どうしよう…最近、まともに食べてない事バレちゃう…」
と思いっていた。
その後、3人は、才が暮らす2階建ての一軒家に着くと、才の母親が迎えてくれて客室へと案内して貰い、才が、医学書を見つつ診察する。
一ノ瀬才
「多分、脱臼か骨折をしてるかもですね」
「これ以上は、なんとも…病院に行かないと…って感じです」
五十嵐楓牙
「そうか、この近くに病院ってあんのか?」
一ノ瀬才
「ありますけど、今の時間帯はやってませんよ」
五十嵐楓牙
「けっ、使えねぇ…」
一ノ瀬才
「取り敢えず、今日は、この家に泊まってください」
「この状態で、家に帰るのは…足にも負担がかかるでしょうし…」
神鏡虚無
「でも…」
一ノ瀬才
「母や父には、事情を説明すれば分かって貰えますよ」
神鏡虚無
「……分かりました。それじゃ、お邪魔します」
一ノ瀬才
「えぇ」
その会話を聞いた楓牙は、コンビニ袋を持ち直し、才に帰る事を言って、才に玄関まで見送られる形で、空を飛んで家へと帰って行った。




