↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤独な少女は世界の子 ー星々は世界を見ているー  作者: 偽善の仮面
第一章 星々はまだ見ていない
PR
12/32

第一章 星々はまだ見ていない 第十二話 大仕事

 

 

午後17時

夕焼けが、とあるカフェの窓から差し込んでいる。

 

虚無の目の前には、一人のキリッとした初老男性が座っていた。

初老男性は、微笑んでいた。

 

店員が、コーヒーと紅茶を持って来る。

 

 

初老男性

「初めまして、“偽物の仮面”さん」

「改めて自己紹介を。私は、正徳(しょうとく)と言う老舗大企業の運営している“新島”家の執事をしている白馬 礼(はくば れい)と申します」

 

神鏡虚無

「“偽物の仮面”です」

 

白馬礼

「その、2問ほどご質問を」

 

神鏡虚無

「はい…」

 

白馬礼

「一つは、その学服を見るに…六能の学生さんでしょうか?」

 

神鏡虚無

「はい、そうです」

「お嬢様である、美紗都さんとは同級生で同じクラスです」

 

白馬礼

「そうでしたか。これかも美紗都お嬢様のお友達であってください」

 

神鏡虚無

「はい!」

 

 

礼が、微笑む。

 

 

白馬礼

「では、2問目、貴方は肖像画を見た事はないんですか?」

 

神鏡虚無

「えっと、それは、少し違いまして…」

「肖像画自体は見た事あるんです。音楽室にあるショパンとか、美術館の肖像画は見た事あります」

 

「ただ、描いた事はないんです」

 

白馬礼

「そうでしたか」

「一応、新島家の家に飾られている肖像画のご写真をお持ち致しましたので、この様に描いてくださると助かります」

 

 

そう言って、礼が懐から数枚の写真を取り出して見せて来る。

其処には、正徳(しょうとく)の現社長や元会長の肖像画の写真があった。

 

虚無は、その絵写真を鑑定するかの様に見る。

 

 

神鏡虚無

「分かりました。美紗都お嬢様もこの様に描けばいいのですね」

 

白馬礼

「いえ、そう言うわけではございません」

「ただ、この写真の肖像画を元に貴方の絵柄を合わせた様な絵を描いて欲しいと思っております」

 

神鏡虚無

「!…分かりました」

 

白馬礼

「では、報酬に付いて、お話し合いをしましょう」

 

 

_______________________

 

 

仕事の依頼から2日後…

 

虚無は、肖像画を描くのに必要な道具を持参して、指定された正徳(しょうとく)が所有する3階建ての豪邸に行った。

 

コンコン

 

豪邸の入り口にノックを入れる。

すると、扉が開いて礼が扉を開けてくれる。

 

虚無は、身体をカチコチにした状態でゆっくりと室内に入って行く。

 

扉の向こうには、大きな広場があり、上には3階から垂れ下がるキャンドルを模したドデカイシャンデリアが、辺りを照らす。

 

虚無の緊張した身体が、少しだけ緩んでしまう。

周りには、高級な壺や水槽などがあり、パーティー会場に来たのかと勘違いをしそうだった。

 

だが、一番目を取るのは、ドデカイシャンデリアだ。

虚無は、あまりの美しさに目を取られてしまい、足を止めてしまう。

 

礼は、その様子に気付き微笑んでいる。

 

 

虚無が、気づくと急いで礼の元へ行く。

 

 

白馬礼

「このシャンデリアに見入ってしまいましたか?」

 

神鏡虚無

「はい、とてもお美しいですね」

 

白馬礼

「このシャンデリアは、シンデレラ城のモチーフとなったドイツの“ノイシュヴァンシュタイン城”やフランスにある“パリ・ガルニエ宮”を元にして作られたシャンデリアになります」

 

神鏡虚無

「パリ・ガルニエ宮?」

 

白馬礼

「パリ・オペラ座をご存知でしょうか?」

 

神鏡虚無

「はい!確か、パリにある世界最高峰の歌劇場でしたよね」

 

白馬礼

「はい、そうです」

 

神鏡虚無

「へぇ〜そんなのを参考にしてるんだ…」

 

メインホールを進み続け、大きな扉の前に行くと礼が扉を開けてくれた。

中に入れば、アンティークな机と椅子に座った赤のドレスを身につけた美紗都がいた。

 

美紗都が、扉の方へ視線を移し、立ち上がりそちらに向かう。

 

 

新島美紗都

「こんにちは、素晴らしい画家さん」

 

神鏡虚無

「こんにちは…」

 

新島美紗都

「えっ、神境さん!?」

 

神境虚無

「あっ、えっと…」

 

白馬礼

「お嬢様。この方は、お嬢様の肖像画を描いてくださる“偽物の仮面”さんです」

 

新島美紗都

「貴方が、“偽物の仮面”さんなの!?」

「はわわ…わたくし、貴方様のファンなんですの!あとで、サインくださる?」

 

神鏡虚無

「は…はい!」

 

白馬礼

「お嬢様」

 

新島美紗都

「申し訳ございません」

「では、お願い致しますわね!」

 

神境虚無

「はい!私の最大限を尽くして描かせて頂きます!」

 

 

虚無の瞳が輝く。

 

_____________

 

 

美紗都が、椅子に座りキリッとポーズを取る。

そして、5分ほどそのポーズをとって貰った。

 

虚無が、絵を描き始める。

 

絵の具を使い鮮やかに仕立てていく。

美紗都は、時よりその絵を隣から観察する。

 

虚無も、1分ほどの休憩を何度か取りつつ、絵を描き進めていく。

 

美紗都は、その間、風景写真を見ていた。

 

それは、全て写真好きの美紗都のお婆様が撮っていた写真である。

そして、美紗都の手には、一枚の写真が握られていた。

 

 

それから、三時間ほどが経った。

 

虚無の荷が落ちる。

 

 

神境虚無

「美紗都お嬢様、肖像画が完成致しました!」

 

新島美紗都

「!…」

「美紗都お嬢様なんて、美紗都でいいわよ」

 

「って、それより絵が完成したのね!見て欲しいですわ!」

 

神境虚無

「いいですけど、触らないでくださいね」

「まだ、絵の具が乾燥していないので」

 

新島美紗都

「分かりましたわ」

 

 

虚無が椅子から立ち上がり、完成した絵を見せる。

 

其処には、美しい美紗都の肖像画が色鮮やかに描かれてあった。

美紗都が、言葉を失う。

 

そんな虚無が、心配した顔で覗き込む。

 

 

新島美紗都

「虚無さん」

 

神境虚無

「は…はい!」

 

 

新島美紗都

「なんて素晴らしい肖像画を描いてくださったの!」

「ほんと、お美しいですわ!」

 

 

虚無が嬉しさのあまり、照れ顔になっていた。

あまり褒められ慣れていないのが目に見えて分かる。

 

其処に、4名の人が入って来る。

薄黄色の髪をした夫婦と思われる人と白髪の初老の男性、メイドの様な人

 

礼が、すぐさま反応する。

 

 

白馬礼

「旦那様に奥様、会長様もお越しになられましたか」

 

 

その言葉を聞いた虚無は、慌てて姿勢を正す。

緊張からか、身体はカチコチに固まっている。

 

 

新島美紗都

「お母様!お父様、お爺様!この肖像画を見てくださいまし!」

「こんなお美しい肖像画は、初めてですわ!!」

 

 

美紗都が、興奮気味にそう言う。

美紗都のお父さん達は、虚無が描いた肖像画を見る。

 

3人もその美しさにやられてしまった。

 

 

新島雨禰

「まぁ、なんてお美しい肖像画なんですの!」

「私もこの様な肖像画を描いて貰いたいですわ!!」

 

新島陽場

「嗚呼、美しい…」

 

新島一次郎

「ふむ、いい肖像画だな」

「この肖像画は、君が描いたのか?」

 

神境虚無

「はい!」

 

 

虚無の声が裏返る。かなり緊張している様だ。

 

 

新島美紗都

「そんな緊張しなくてもいいのですよ」

「それと、追加で描いて貰える絵に関してなんですけど、今から家族写真を撮りますの!」

 

「それで、背景はこの絵にしてくださいまし!」

 

新島雨禰

「それは、どう言うことなの?」

 

神境虚無

「えっと、今、企画として依頼して貰った方にプレゼントとしてプラスでもう一枚絵を描くと言う企画をしておりまして」

 

新島一次郎

「ホッホッ、いいもんじゃ」

 

 

新島家の者が、写真を撮影するために並び、礼に写真を撮ってもらう。

そして、すぐにその写真を虚無へ渡す。

 

 

新島美紗都

「それじゃ、報酬を払わなくてですね」

 

神境虚無

「あっ、それに関してなんですけど」

 

新島陽場

「何十万するかね?依頼料は」

 

白馬礼

「旦那様、それに関して、わたくしからご説明を」

「“偽物の仮面”様の家庭は少し特殊な為に現金を受け取る事が不可能なんです」

 

新島陽場

「なんだと…」

 

白馬礼

「その為、物々交換という事で報酬を支払うという事で合意を得ました」

 

新島陽場

「そうか」

「肖像画は、一枚、幾らするのかな?それと同等の価値のある物を報酬として支払ってくれ」

 

白馬礼

「30万から60万ほどですね」

 

神境虚無

「えっ、肖像画ってそんなお値段する物なんですか?」

「私、てっきり高くても1万円くらいかと…」

 

新島雨禰

「それは、安すぎますわ!」

「私なら、60万以上する物を渡しますわ」

 

神境虚無

「私、そんな高い物は…」

 

白馬礼

「旦那様、お嬢様」

「近々、シャインマスカットやマンゴーの試食会があります」

 

新島美紗都

「虚無さん、貴方、シャインマスカットやマンゴーなどのフルーツはお好きですか?

 

神境虚無

「はい」

 

新島美紗都

「では、その試食会で選ばれた最高級の一品をお渡しするのはどうでしょうか?」

 

新島一次郎

「いい案だ」

「ついでに、その試食会に特別参加者として参加するといい」

 

神境虚無

「いやいや!そんな場所、私には相応しくないので遠慮させてください」

 

新島一次郎

「いいや、私には相応しいと思うのだ」

「どうだ?孫娘の我儘に付き合ってくれないか?」

 

神境虚無

「……はい、私で良ければ」

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。