71章 ストラップバンド
当時、ストラップバンドというものがあった。
長い板のようなもので、それに衝撃を加えると丸くなり腕に巻くことができる。
パチンという音と共に曲がる、蛍光バンドのようなもである。こう呼ぶらしい。
おそらく夜間の事故防止などで配られていたのだろう。
バンドの記憶、つけていた人の記憶は定かではない。
だがこれだけは覚えている。
―奴らに暴行され、棄損させられたことを。
防犯用のアイテムなのであろうが、当時の少ない娯楽としても十分なものであった。
板の状態で思い切り腕をはたくと「パチンッ!」と曲がるのだ。
単純に面白い。
曲がった後はまたまっすぐに戻せ、何度でも遊べる。
だが奴らとは「遊び」の種類が違った。
奴らは必要以上の力で思い切り俺にそれで殴り掛かる。
当然痛い。
だが奴らは痛がる俺の反応を楽しみさらに何本も叩きつける。
俺は取り押さえられ、腕をまくられ、その腕に何本に叩きつけられた。
「パチンッ」
「パチンッ」
「パチンッ」
普通に叩きつける分には全く痛くない安全なものである。
だが奴らはまるで鞭のように痛めつけるために必要以上に力を籠める。
腕が痛い。
そして俺が配られた分も奴らに取り上げられた。
奴らはそれを武器に使うのではなく…口に入れ、舐め、歯型をつけ、破いた。
俺が一番されたくないことを的確にしてくるわけだ。
当然俺は破棄する他なかった。
ものを失い、楽しんでいる輪にも入れず、楽しんでいる人たちを見て
「なぜ俺だけ…」
と、どこへぶつければいいかわからない悲しみと劣等感に襲われていた。




