68章 ヤギ
中学で動物園に行く機会があった。
俺はクラスで移動するのが苦痛だったが自由行動できるだけマシだと思った。
教室だと絡んでくる奴もわざわざ絡んでこないからだ。
つまり俺はいなければ別にそれでいい存在なのだろう。
―しかしそれでも遠回しに俺を攻撃する者がいる。
いや、攻撃のつもりもないかもしれない。反射で言っているのかもしれない。
―女子だ。金髪で(注意しろと思う)体格もよく、1学年上の兄も体格がよく暴行などを行っている。
兄の後ろ盾のようなものもあり、女子のボスのような女だった。
―俺がヤギを触れ合えるコーナーでヤギを撫で、「かわいい」と言いかけたその時
「なにあの動物キモッ!」
大声で遠くからこちらへ叫んだ。
俺に対して言ったのか。
俺が撫でているから言ったのか。
俺がかわいいと言ったから言ったのか。
単純に心から思っているのか。
―何にせよ、人の好きなものに正面から気持ち悪いと言えるのは信じられない。
少なくともそれは相手が俺だから言えたのだろう。
何にせよ、俺と関わったせいでヤギまで攻撃されてしまった。
そして第三者は俺のせいでヤギが攻撃されたと認識する。
何なのか。俺は何の感情も学校で出してはいけないのか。
いや、そうなのだろう。
俺自身こいつらの標的にされるために好きなものの名前を出したくない。
だから離れたところで言うのにそれすら追ってきて罵声を浴びせてくる。
―この女は何度も俺を遠回しに攻撃してくる。取り巻きの女もだ。
何かあれば兄をちらつかせる。
いや兄が定期的に下の学年まで監視に来る、というのが正しいか。
女の顔、名前、全て35歳の今でも覚えている。
怒りが沸く。今では逮捕でもされていることを祈るしかなかった…




