51/75
50章 ボタンかけ係
当時の冬の話だった。
寒くててがかじかみ学ランやワイシャツのボタンがかけづらいのである。
俺だけでなく奴らもそのようだった。
なので部活の朝練が終わり制服に着替えるとき
「おい」
とよびつけられる。
そして…
「ボタンしめろ」
奴らは命令する。
俺はお前たちの親か?
しかし俺に拒否権はなく、「はは…」と笑いながら奴らのボタンをかけていく。
もちろん手がかじかみうまくかけられない。
「早くしろや!」
奴らが怒鳴る。体育館でほかの部活だった奴らがそれを見て集まってくる。
「うわ~パシリにそこまでさせてるんだ~」
他の奴らは楽しそうにそれを見物する。
俺は見世物にされていた。
同い年の奴に服従させられ
同い年の奴らがそれを見る。
―屈辱だった。
俺に命令している奴らは誇らしげに周りをみて笑う。
恥ずかしい。悔しい。情けない。
俺は朝の会が始まる前にもう泣きそうで消えたくなてしまった。




