42章 覚えたて
「お前は親に甘やかされて生きてるくせに」
…え?
俺はいきなり女子に言われ面食らった。
本当にいきなりである。
まぁ嫌われているのは予想がつくし俺も嫌いだが…いきなり?
怒りよりも困惑のほうが大きかった。
「は…はぁ…」
としかその場では言えなかった。
しかし家に帰ると怒りが湧いてくるのであった。
なぜいきなり俺と親が罵倒されたのか。
なぜ俺はその場で流したり言い返したり出来なかったのか。
もうこの怒りのぶつけどころはどこにもなくなっていた。
反応するには遅すぎた。
考えてもネガティブなことばかり浮かんできて眠れなかった。
―翌日。
他の女子に
「お前と言う概念が分からない」
といきなり言われた。
…何が?
俺だってそんなものは分からない。
「お前は何をやっても自業自得なんだよ」
…???
女子たちから意味不明な罵声を浴びる。
ただ悪意や敵意は明らかに感じたので俺はとても不愉快だった。
少し後になって分かったが、当時は携帯電話が中学にも普及しだし、携帯小説が流行りだしていた(特に女子に)。
それを読んでとりあえず覚えた単語やフレーズをぶつけてきたようであった。
実に中学生らしい。
しかしだからと言って笑って流すことはできない。
同い年から向けられた悪意は一生消えることがない。
35歳の今も、ぶつけどころのタイミングを完全に失った怒りが体の中に残っている。




