光
わからない。
この2人が敵になるか、味方になるかが解らない。
人の目と、時間が気になる。
連れて逃がしてくれる気がないなら…質問しないでほしい。
「ルドルフ様は…酔っていたのか、何かを叫びながら、泥棒のように家探ししていました。私は、必死になって止めました。でも、殿下は止めてくれませんでした。だから…つい…花瓶で…」
(殴りました…)
「そしたら…怒ってしまわれて…私の首を」
その時がフラッシュバックしてしまい、首の痛みを感じて…それ以上は話せなくなった。
神妙な表情で話すアリステアが可哀想になり、レッドが話を続けた。
「団長、その後は先程話した通りです」
少しの間の後に、多分、団長なりに何かを考えていたのだろう。
優しく聞いてくれた。
「もうひとつ、レッドに連れて行ってくれと言った意味を教えて頂けますか?我々は、中立の立場です。話を聞いている限りルドルフ殿下に非があるように思えます。あなたの率直なお気持ちをお聞かせください」
遠くで、赤やオレンジの山のように見える炎の中で、あんなに大きかった城が黒い枠組みだけになり、轟音と一緒に崩れ落ちていく。
心配そうな「レッド様」と、後ろにいるエミィから伝わる緊張感。
迷っても仕方ない…。
「連れて逃がしてほしいのは本心からの言葉です。理由はどうあれ、私は夫に暴力を振るいました。罪に問われるでしょう。よくて幽閉、悪ければ死罪です。逃げたくなるのは本能だと思います」
団長は優しく言葉を続けた。
「他には?」
(…)
「すみません。上手く言葉にできなくて…」
団長の全てを信用できるわけじゃない。言える事と言えない事がある。
言い淀む私に団長が言った。
「ヴァルグレイヴ王国が関係しますか?」
ここで、この会話の参加者全員が驚いた。
ヴァルグレイヴ王国とは、アリステアの暮らすエルヴェリア公国の北東に位置する広大な国で、レッド達のルミエール国とは常に覇権争いが絶えない国だった。
ヴァルヴレイヴとルミエールの国境には、大河並みの湖『エルヴィア』が存在し、2つの国を往来するにはエルヴェリア公国を通るか、大型船で航行するかしかなかった。
が、そのおかげで、エルヴェリア国は交易で非常に潤っていた。
「どうして、それを?」
怪しむ私と微笑む団長。
「まずは、アリステア様の介添え人がヴァルヴレイヴの神官でしたし、軍人らしき者もいましたから予想はつきました…ルドルフ殿下ですね。困った人です」
押さえていた感情が言葉で出てしまう。
敵だったら…ルドルフの配下に突き出されるのに、言葉が止まらない。
「私は、この国を取り戻したいんです。お父様の死の真相を知りたいんです」




