光
アリステアは庭の安全な場所に避難して、2人の話が終わるのを待っていた。
その間も城は、火の粉を吐きながら崩れ落ちていっている。アリステアは、自分の瞳に熱く赤くその光景を刻印するように、燃え上がる城を見つめていた。
幼い頃から積み上げてきた思い出が崩れていく事に、アリステアの固まった体が小刻みに震え初めた。
今になって、興奮、緊張、恐怖の重なった心労が、体を振動させてきたみたいに…。気付いたエミィがそっと肩に手を置く。
それを見ていたカナンは、微笑ましくなった。
どれくらい待ったか、やっと「レッド様」達2人が戻って来てくれた。
とりあえず「レッド様」には謝りたかった。
助けてもらえた事と、愚かな言葉を…「連れて逃げて」なんて、ルドルフ殿下との主従関係を壊しかねない発言してしまった事を…。
謝った後は…。
この場を、この2人を適当にあしらわなければならない。…城内の者、特に母やルドルフ殿下(生きていれば)に、この身を引き渡されてはいけないから。
逃げたい。
逃げたい。
2人は私の前に立った。
緊張から、口の端が震える。
…のどが渇く。
「アリステア様、お待たせして申しわけなかったです。レッドから事情を聞きました。その上で、お話しを伺いたいと思います。それと、先ほどのアリステア様からの提案の事も…」
暗闇でも分かる。柔らかな微笑みと、口調でブレア団長が優しく言ってくれた。
言ってくれた…が。
「すみません、さっきはどうかしていました。レッド様にもブレア団長にもご迷惑をおかけいたしました。レッド様、カナン様助けて頂きありがとうございました。それでは、これで失礼致します」
そう言って、立ち上がりこの場を(逃げ…)去ろうとすると、「レッド様」に止められて、
「アリステア様、慌てないで下さい。殿下と何があったのかを教えて下さい」
(まだ、ここにいなきゃない…の?)
エミィも、騎士様達も表情から私の話を知りたがっているのが分かる。
ルドルフ殿下の事なんて話たくないけど、仕方ない…か。
「私は祝宴は欠席して部屋にいました。ルドルフ殿下は苛立ちながら、私の部屋に来ると、狂ったように何かを探しだしました」
「何か…とは?」
団長の質問に私は首を振った。
…わ か ら な い。




