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『聖母の意志を紡ぐ王太子 〜裏切りと呪いの王宮で、僕は真っ直ぐ生きると誓う〜』  作者:


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第十五話 闇夜に誓うエルフたち

いつもお読みいただきありがとうございます。

第十五話 投稿いたしました。

「また、失敗だと!? 貴様ら、一週間だぞ!」

「この一週間、貴様らは遊んでいるだけか!?」

「そんなに怒るものではありませんよ……原因は?」

「……申し訳ございません……爺さんと婆さんが……その、化け物じみていまして……申し訳ございません」

「化け物じみてとは、どういうことですか?」

「そのままでございます。二人とも、人間かと思うほどでございます。我ら全員でかかりましたが、生きて戻れたのはここにいる二人だけでございます」

「確か、傭兵十人と暗殺者ギルドから十人の、合計二十人でしたね」

「それが、二人しか生きて戻っていないだと!?」

「侯爵様、二人に心当たりはございますか?」

「爺さんと婆さんで公爵家となると、大方、執事長と侍女長の二人だろう。……それがどうかしたのか?」

「分かりました。相手は二人だけですね。……もうしばらく続けてください。お願いしますよ」

「それがどうかしたのか?」

「いえいえ、確認です。そのうち分かりますよ」

誰もいないはずの公爵邸に、いくつかの影が蠢く。

「またですか」

「あっ……」

刃を交えるかすかな音ののち、影は崩れ落ちた。

「これで今夜も3人目ですね」

「こうも毎日毎日来られますと、老体には響きますね」

「ホントにね。ここをどこだと思っていて、なおかつ私たちがいるのを知ってて来るんだから。遣わされるこの子たちも可哀そうな話だよ」

「また……誰かが来たようですよ」

「この気配は……!? 賢者様……? それにベゼラ様……!?」

不意に現れた気配に身構えた二人だったが、その姿を確認して目を丸くした。

「賢者様に、姫様。どうしてこちらへ??」

「もう……私は姫ではありませんよ」

「そんな事はございません。私たちにとっては、姫様はどこまでも姫様でございます。もちろん、公式の場では『ベゼラ妃』と呼ばせていただきますゆえご容赦ください。……して、一体どうされたのですか?」

「王宮では誰の目があるかわかりませんので、こちらでお話ししようかと伺わせていただきました」

「そうでしたか。では、よろしくお願いします」

二人が深く頷くと、姿の変わった賢者が静かに口を開いた。

「私から話そう。私の見た目の説明は特にいらないと思うが、単純に若返っているだけだからね。そのほうが何かと動きやすい」

少し小さくなった手足を軽やかに動かしてみせた後、賢者の瞳に鋭い光が宿る。

「ここからが本題だ。姫は気づいたみたいだが、イウローネ妃とご子息全員が呪いを受けている。もっとも、姫のお子さんのソフィーは軽くしか受けていないみたいだがね」

「ソフィーのは私が外しました。ただ、完全に外すと術者に悟られてしまうので、表面上はかかっているように見せかけています。ノックス当主のあの祈りでしたから、かけられてすぐだったので私でも対処できました」

「流石は姫だね。そこまで気づいて対処したんだ。……だが、他の者たちは魂まで呪いが定着している。特にイウローネ妃にはかなりキツイ呪術がかけられているよ。……あと5年の命だ」

賢者の語る残酷な真実に、執事長と侍女長は息をのんだ。

「王のご子息全員に呪い……。しかも、お嬢様の命はあと5年だなんて……! 何とか、何とかならないものなのですか!?」

「普通には、無理だよ。あれは……」

賢者は静かに首を振り、夜の闇を見つめた。

「私たちエルフ、しかも『古代エルフの禁呪』だよ。私でもすぐには外せない」

「……外し方は、あるのですか?」

縋るように問う侍女長に、賢者は低く、重い声を落とした。

「あるにはある……が……誰かがその代わりに死ぬことになるよ……」

「……では、お嬢様に関しましては『手段がある』と思っておいてよろしいですな」

執事長は一切の迷いを捨てた瞳で静かに首肯すると、続けて問いを重ねた。

「では、ご子息様方はどのようなものでございますか?」

「シャルロッテとヴィルヘルムは力を抑えられている。他の二人も、それぞれ違う形で呪いを受けているはずだ」

「そちらに関しましては、外せますかな?」

「外すだけなら問題ない。ただ、完全に外すと術者に悟られる」

「かしこまりました。……この件、お嬢様には内緒にしておきましょう。後でお館様にも話を聞いておきます。策略を巡らせるのは、あの方の得意分野ですからね」

「……相変わらずだね。だからこそ、君たちに話そうと決めたんだ」

「恐れ入ります。お任せください」

賢者は小さく頷くと、ベゼラと共に闇へと姿を消した。

残された執事長と侍女長は、互いに一度だけ視線を交わす。

「ようやく、お嬢様へ恩返しができますね」

「ええ、今度こそ必ずお嬢様方をお守りしましょう」

「では、まずはここにいる招かれざる方々にお帰りいただきましょう。それからお館様にご報告に参りますよ。王宮内部では話せないとのことでしたからね」

「そうですわね。どこでお話をしましょうかね?」

「大変でしょうが、うちのお館様の悪知恵なら何か思いついてくれるでしょう。お嬢様のためです。思いついていただきます」

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